平成30年度研究評価委員会(エネルギー・環境領域)評価報告書
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・創エネ・省エネ・蓄エネの3つの柱、産業・環境共生の3つの柱に沿って、それぞれシナリオを作成し、戦略的にテーマ選定を行い、指標のKPIをマネジメントしながら、研究の上流から応用の下流まで人材育成を、海外を含め包括的に進めている ・エネルギー・環境問題に関わる課題の設定、技術領域の明確化、シーズを踏まえた研究開発テーマ設定がなされ、産業界への貢献を含めて、期待される。 ・全体的に、個々のテーマで着実に成果があがっている。産総研のもつコア技術を活かした研究開発において、目標値を上回る成果や社会実装につながる特筆すべき成果もみられる。論文数、引用数は第4期全体通して目標達成しており、学術的成果も評価される。 ・OIL、被災地企業のシーズ支援、コンサルティングなどの取り組みにおいても成果が見られ、産業界への貢献度が高まっている。人材育成での種々の取り組みも評価される。 (改善すべき点及び助言) ・テクノロジーとグローバル化の進行により、従来型の産業構造が大きく変化している中、産総研の研究体制が旧態依然としていないか心配。要素技術的な開発計画だけでなく、大きなビジョンを描き、そこから各技術の具体的な出口戦略やフレームワークを構築することも必要。 ・来年度は第4期の最終年と思われるが、その際は個別の技術の総括に加え、各テーマとしての総括(論文、特許、実用化事例など)をまとめていただけると良い総括になるのではないか。 ・「産業・環境共生社会」の実現をエネルギー・環境領域の目標の1つの柱として打ち出したことは評価されますが、研究開発を体系的に進める上で、困難を伴わないでしょうか。そこには「循環社会」と「リスク・安全」がキーワードに含まれますが、これらはやや距離がある概念のため同じカテゴリーで論じるには無理があり、1つにまとめる必要はないように思えます。つまり、例えば「低炭素社会」「水・資源循環社会」「リスク低減社会」の3本柱でよいのではないでしょうか。確かにボリュームとしては最初の1本目の柱が大きいのでバランスはわるいですが、さしたる問題ではないでしょう。エネルギー・環境領域以外の領域は、領域名が具体的なので外から何をやっている部門かが直にわかります。エネルギー・環境領域も可能な限り具体的なテーマ名、柱名を設定すれば認知度が上がり、社外資金獲得の上でも有利かもしれません。 ・将来の種となる目的基礎の案件数がやや少ないように感じます。技術立国である我国は、国際的に通用する技術レベルを維持しなければ、国内外の技術ニーズに応えることができません。世界の技術が向かう方向を先取りし、もしくはリードすることが重要です。そのために、開発戦略を立案する上で、技術カテゴリーごとに世界市場とニーズをもっと精査してほしいと思います。中国、米国の技術投資額において日本は勝てないので、日本は既に得意としている分野をさらに伸ばす戦略が重要になります。しかし、現在の技術の延長線上にないが、世界がその方向に向かうと判断した場合は、躊躇しないで邁進いただきたい。 ・バブル期にはまだ企業は基礎研究をやっていましたが、多くの企業はバブル崩壊後、基礎研究だけでなく応用研究までやめて、研究の全てをわずかな研究費で国研や大学に任せるようになり、この流れは今も続いており日本産業界の相対的な競争力低下につながっていると思います。産総研殿には企業に研究シーズを蒔くというミッションとして認識していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。企業も応用研究は自らやらないといけないと自覚していますので、是非ご協力をお願いします。 ・再来年度から始まる次期研究5ヶ年計画において、産総研殿にお願いしたいのは、フレキシブルな計画で臨んでいただきたいということです。テーマ、分野が違えば、開発スピードや成果がでるタイミングは一致しません。各テーマで時間軸がずれる事を前提に計画立案をお願いします。期間の途中からでも新規テーマアップなどフレキシブルなマネジメントを期待します。 ・次期研究5ヶ年計画でも、やはり継続的に実施すべきは人材育成であり、人材確保です。海外の優秀な若い人材とベテラン人材の確保を戦略的にお願いします。 ・産総研研究者には研究プレイヤーと研究マネージャーとしての二面性が求められている。国研発のシーズを「橋渡し」すれば事足れりとするリニアモデルの時代が過ぎ去った今、前者から後者への適切なシフトが求められている。そのバランスを適切に設定するに際して、後者に対する評価軸が予算獲得に偏在している点が不満である。ぜひ研究マネージャーとしての産総研のオープンイノベーションに係る役割を適切に評価する評価軸を、機構評価にも、個人評価にもぜひ見つけていただきたい。 ・TRLの9段階を見ればわかるように、一つの事業が立ち上がるには、20年近いスパンの「前史」が必要であり、産総研はこの前史に関わることが役割といっても過言ではない。その意味で、各分野の技術史をまとめるということも産総研の大切な役割ではないか。我が国はこれまで高性能のものを作れば売れる、国は豊かになると信じてやってきた。しかし消費者のニーズからかけ離れた性能至上主義、あるい- 123 -

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