平成30年度研究評価委員会(エネルギー・環境領域)評価報告書
117/132

に出てくるが、大切なことは被引用数である。国内産業を育てることを使命とする産総研としては、国内雑誌を育てる使命もあるのではないか。 ・金属多硫化物正極材料では、電動飛行体分野に向けての展開に強く期待する。 ・熱電変換材料ではZT値の向上だけを研究レベルで追いかけるのではなく、各段階での数値に見合ったマーケットを見つけて事業展開いただきたい。 ・電池のシナリオで4つの課題が記載されているが、高容量・低コストシナリオのみ示され、残り2つはどうなっているかわからなかった。橋渡しで取り組むのであれ記載したほうが良い。製品にするためのリードタイムが考慮されていない点も記述が必要。水素のロードマップは、中間のマイルストーンが無く、また、製品の流れは製造・貯蔵輸送・利用の縦の流れだが、ロードマップ/ポートフォリオはどのように組み合わせて成立させるかが不明。経産省のロードマップの出口に対する関連が読めないので改善が必要に思う。 ・ブレークスルーにつながるような基礎研究も期待したい。研究テーマの見直しを含めて、再検討しても良いのでは。 ・蓄電池に関して、材料およびフェーズを含めて、多岐にわたる研究開発がなされているが、その位置づけやインパクトを明確にしつつ、重点化して、進めて欲しい。 ・外部に対する優位性、革新性を明らかにして、進めて欲しい。 ・目的基礎のフェーズのためやむを得ない部分はあるが、二次電池は、目標値はあるもののそれ対してどうアプローチするのかが見えにくい。複数の技術を収斂させるのか、それとも異なる出口を目指すのか、全体的に研究戦略がわかりづらい。ベンチマークについては手法の比較にとどまらず、例えば主要なメトリックを定量比較するなど内容の分析を深め、将来的にも優位性があると言えるのか、目標のアウトカムが得られるのか、等の視点で現状計画の妥当性を評価することが必要と考える。 ・水素は、ロードマップ自体が大雑把で、METIシナリオがこれで実現できるのかもわかりづらい。 【とくに平成30年度に対して:平成30年度評価】 (評価できる点) ・水素技術に関する領域内でのテーマ全体像をポートフォリオで示し、目的基礎から橋渡し後期まで全体を把握している点は研究テーマを俯瞰する上で大変良い試みといえる。ぜひ他のテーマにも展開してほしい。 ・水素脆化の基本メカニズム解明は、将来的な水素社会における基盤技術として有益である。 ・蓄電池技術のロードマップに加え、海外機関との研究ベンチマークや各種プロジェクトの中でのAISTの役割を明確化できている点は非常によい。 ・新型カリウムイオン電池でリチウムイオン電池と同等の4Vの高電圧正極材料が開発されたことは資源の有効活用の観点からも期待できる。 ・関西センターにおいては、電池技術研究部門と技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)が協力して将来の電気自動車用「全固体電池」に関するNEDO先導プロジェクトを獲得し、平成 30 年度からは自動車企業を中心とするオールジャパン産学官連携体制を整え、産業界をリードしている点は非常に心強い。 ・[蓄電池]金属多硫化物正極材料の開発[P47]:実用的容量サイズの電池を試作して重量エネルギー密度の高さを実証したことは、開発した材料のポテンシャルを引出すための電極構造設計技術、部材組立技術の高さをも示していると思います。これら幾つかの技術が揃ってこそ、新材料の可能性を評価できます。今年度の結果は、既存の遷移金属酸化物3元系正極材料に替わる可能性があり、今後大いに期待できます。 ・[蓄電池]新型カリウムイオン電池の開発[P48]:酸化還元電位がリチウム系より高いカリウム系材料で4V級電池を構成したことは、高電圧化による高エネルギー密度化への可能性を拡げる将来につながる意義ある成果だと思います。 ・[蓄電池]金属-空気電池用材料の開発[P49]:正極反応の活性をあげる触媒に、非貴金属材料の可能性を引出したのは、MOFナノチューブなどの導電性材料へのナノレベルの触媒分散担持定着技術によるところが大きいと思料します。非金属材料を触媒に使えることを実証した意義は大きいと考えます。 ・[蓄電池]硫化物系全固体電池の実用化に向けた取り組み[P50]:全固体電池における負極層の固体化は、材料開発ではなくどちらかというと電極構造と製造技術の開発です。安定な充放電サイクル寿命特性が得られていることから判断すると、電極の不均一性からくるリチウム金属析出の影響は見られず、負極活物質と電解質材料との電極反応界面と、負極内に良好な導電性3次元ネットワークが形成されていることを意味していると想像します。 - 113 -

元のページ  ../index.html#117

このブックを見る