平成30年度研究評価委員会(エネルギー・環境領域)評価報告書
112/132

(改善すべき点及び助言) ・第4期は世の中もパリ協定やRE100などの低炭素社会実現が注目されてきたため、各種エネルギー技術の成果に重きがある点は人の配分も含め理解できる。一方で、パリ協定を機に再生可能エネルギーはシェアを伸ばし、脱炭素化が加速している。そのような社会的な動向に対して、果たして現在のエネルギーロードマップは適切か再考が必要ではないかと思われる。特に火力発電が世界的に低迷している中、アジア諸国を含めて本当に再生可能エネルギーで充足できるのか、あるいは火力が必要であれば、CCS含めた高効率火力発電の必要性を訴えられるのは日本くらいと思われる。再生可能エネルギー導入の限界含めたロードマップ作製に期待したい。 ・SDGsに関しては、急速に産業界でも期待が高まっている。更には、Society5.0に向かい、IoT、ビッグデータ、AI等のサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた研究開発が求められている。当領域は、リスクマネージメントやLCAの専門家を輩出する特色的な研究領域でもあり、個々の研究開発が社会課題や新たな価値創造にどのように貢献しているかという指標を作り、発信していくことも必要ではないか。それが、産総研の研究成果が描く未来像の社会発信力へと繋がると思う。 ・ISO, IEC規格は単に発行するだけでなく、どれだけ活用されているかの視点も重要。論文と同様に引用度(購入実績)も調査すべきである。 ・オープンイノベーションへの貢献は当領域では顕著である。民間への多大な貢献でもあり、ぜひKPIによる目標設定や研究管理を進めていただきたい。 ・[(1)領域全体の概要・戦略][P12, P13] 持続可能な社会を実現するには、物質とエネルギー両方の循環再利用が欠かせないと考えます。循環する物質を鉱物資源と水という切口だけでなく、人間の生活、生存に密着した衣食住という切口、特に食物の循環にフォーカスした研究も検討カテゴライズされてはいかがでしょう。 ・[(1)領域全体の概要・戦略][P13] エネルギーのロードマップが具体的で、方向が定まっている印象を受けるのに比べて、環境・安全のロードマップはあまり具体的でないように見えます。物質循環技術と環境影響評価技術についてより深い議論が必要ではないでしょうか。 ・[(1)領域全体の概要・戦略][P13] 物質循環技術と環境影響評価を、同じカテゴリーでロードマップを策定するには、分野の性格が違いすぎるということはないでしょうか。物質循環技術はどちらかというと装置などのハードが研究対象となりますが、環境影響評価は、人、地域、国などを対象とするアセスメントが中心で、場合によっては社会学も必要になる領域だと思います。 ・[(1)領域全体の概要・戦略][P15] ミドルアップ&ダウン型経営では、ミドルレンジの研究者のモチベーションを高く保つことができると思いますが、過度な責任を負わすだけではなく、チャレンジングな施策に踏み出せるような環境づくりをマネジメント層には期待したい。 ・[(1)領域全体の概要・戦略][P15] “基礎体力”が重要と明記されているが、これは目的基礎研究で、世界トップクラスの研究成果を出せる力である、と読み取れます。基礎体力の増強をどのように実現するのかが重要だと思うので、そこを具体的な施策に落とし込んでほしいです。研究職員の採用方法なども改革の対象ではないでしょうか。 ・電源構成シミュレーション精度の向上を領域戦略の見直しにどうフィードバックさせるかに注目したい。マネージメントツールの開発と研究戦略が分離していてはいけない。 ・第5期では、マーケティング機能の強化に裏打ちされた目的基礎研究の向上を見てみたい。 ・オープンイノベーション(OI)の推進は産総研のこれからの大きな柱であるにも関わらず、確たる評価指標が確立されていないのがとても残念である。OI指標策定そのものも重要な研究テーマである。要は産総研が当該産業の活性化に及ぼした触媒作用をどう数値化するかということである。 ・国際標準化活動を単なるボランティア活動と矮小化してとらえるのではなく、我が国の国際戦略の一環としてどう位置付けるかが今後大切であろう。 ・市場規模の予測とその実現に必要な技術、そのうちどこを担っているか、その技術がクリティカルパスの一つになっているのか、という視点で見ると見込みが甘いように感じる。また、日本市場だけでよいのか、特に再生可能エネルギーで巨大市場になりつつある中国企業が実施している技術展開に対し、優位性がどこにあるか、中国での特許取得を含めどの技術を優位にしたいか、産業界が何を要望しているか、出口が漠然としていて、勝ちのシナリオが読みにくい。 ・再生可能エネルギーを軸足に創エネのテーマが構成されているのに対し、蓄エネはEVが出口となっていて、エネルギーの軸足がちぐはぐ。 ・イノベーションと実用化への貢献のバランスを期待する。 ・再生可能エネルギーは、非常に重要だが、太陽光、風力、地熱と総花的であり、時系列的にも、重点化- 108 -

元のページ  ../index.html#112

このブックを見る