平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
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ック装置、ノロウイルス感染予防のための食品工場での従業員の感染チェック装置、室内のウイルス汚染監視装置などの実現が期待される。 ●センサ用高圧電性材料の開発 IoTを支える多くの圧電デバイスには酸化物系圧電薄膜が使われているが、半導体プロセスとの親和性の観点から高い圧電性を有する窒化物系圧電薄膜の開発が産業界から期待されている。産総研が開発した複合窒化物圧電薄膜は、調達が容易な金属元素で構成され、ScAlN薄膜と同等以上の高い圧電性を示すことから、これまで窒化物系圧電薄膜が使われてきたセンサや移動通信用高周波フィルタへの利用はもちろんのこと、その他の酸化物圧電薄膜が使われているデバイスへの適用も期待され、IoTを支える多様な基幹デバイスへ大きなインパクトを与える。なお窒化物圧電薄膜の開発については、プレス発表2件、材料系では最大級の国際会議 Materials Research Society Meeting での表彰1件、平成30年度全国発明表彰・21世紀発明奨励賞及び21世紀発明貢献賞を受賞するなど高い評価を得た。 ●スマート製造ツールキットの開発 スマート製造ツールキットの普及により、中小企業を含めた製造業事業者が独自に生産現場のIT化やIoT化を推進するための強力な手段を手にすることになる。これは日本の製造業の生産性向上と競争力向上に大きく貢献する。 【課題と対応】 「橋渡し後期」における課題としては、醸成された開発技術に対して最大の効果を得るため、多様なアプリケーションの開拓、及びそれを効果的、効率的に実用化に繋げるためのバリューチェーンの構築が挙げられる。これには試作環境やプラットフォームの整備を通じた技術移転環境の整備、及び技術コンソーシアム等の形成によって川上産業から川下産業までを効果的につなぐことが対応策となる。下記、各研究テーマに関する課題と対応についても列記する。 ●変量多品種IoTデバイス生産を実現するミニマルファブの開発と普及 ミニマルファブは既にデバイス試作向けの実用が始まっており、装置の販売実績も積み上がり始めている。今後は、実用デバイスを生産する製造工場としての普及を進め、産業システムへ組み込んでいくことになる。ここで課題となるのは、次の点である。(1)開発を継続中のイオン注入装置とCVD装置の開発、(2)数十から数百台のミニマル装置の間を自動でウェハ搬送容器を移動させる自動搬送システム開発、(3)これらの装置と搬送容器の動作を統一し、一元管理する生産システムソフトウエアの開発、(4)超小型装置の優位性を生かした装置の移動(作るデバイスごとに装置の順番を入れ替えるシステム)と、ミニマルファブ間(製造工場間)での搬送容器移動や制御(すなわち「つながる工場」)に欠かせない遠隔操作システムの開発、(5)少量生産では不可欠な開発コストシェアのためのデバイスプロセス開発(いわばレシピ開発)の有料化ビジネスモデルの開発。以上(1)~(5)の課題について、既に開発に着手した。 ●製造プロセスの高度化と複合化技術の開発 加工技術の高度化と複合加工技術の開発により、これまでの加工限界及び材料適用範囲の拡大が実現し、製品や部材への加工法の適用範囲拡大にも寄与している。これまでは金属部材が主であったが、今後はセラミックス及びこれらの複合材等への適用範囲の拡大が課題であり、砂型積層造形技術の応用技術として対応を進めている。部材の高付加価値化に対して複合材、複雑形状、高信頼性等などが課題であり、高速シミュレーション等との連携によりデジタルマニュファクチャリングを実現し、設計技術と制御技術を連携してCPSの一部として加工プロセスの高度化と高効率化を進めていく。 ●社会で活躍する先進コーティング技術の開発 AD法によるフレキシブルDSCの実用化に関して、事業規模拡大のため、DSCデバイス製品の用途- 28 -

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