平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
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細加工、マルチマテリアル(材料の新規性や多様性)化などの様々なニーズに応えるものである。平成30年度は、当該国プロ開発成果の大型高速積層造形装置(SCM-1800)が株式会社シーメットより上市され、ポンプメーカーに1号機が納入、ポンプケース、インペラ等の鋳造部品製造への活用が開始された。平成27年度に株式会社シーメットより先行上市された0.8×0.4×0.4 m3の造形空間を有する小型積層造形装置(SCM-800)は平成30年度に三重県工業研究所に納品されるなど各地の企業への普及も進んでいる。本技術は、国内約1兆円の産業規模の鋳造部材の高度化、高付加価値化に寄与する。従来は不可能であった薄肉中空構造の鋳造品を製造できる砂型積層造形技術は、装置を導入した企業において航空宇宙部材、自動車部材、産業機械部材への活用が進んでいる。中でも、高速な造形を実現したことにより月産数千〜数万台に達するエンジン、モーター等の自動車部材への量産適用も可能となり、形状最適化による性能向上から自動車の省燃費、性能向上にも寄与が期待される。要素技術に関する企業との共同研究だけでなく、装置を上市した企業、装置導入企業との共同研究契約も締結されており、実用化を目指した研究が展開されている。 ●社会で活躍する先進コーティング技術の開発 AD法の技術移転をTOTO株式会社へ進めた結果、当該企業が低発塵半導体部材の事業化に成功し、平成27年度に第6回ものづくり大賞「内閣総理大臣賞」、第49回(平成30年度)大倉和親記念財団表彰を受賞した。現在同部材は、先端ロジックチップやメモリチップなどの製造歩留まり維持に不可欠になっており、同部材の世界シェアは70%以上になり、世界の半導体製造を支える重要技術に成長した。また、AD法によるフレキシブルDSCの実用化に関しては、薄い・軽い・曲がる・貼れるという特徴を利用して窓へ設置する「防犯センサ」やドアや家電などに設置する「見守りセンサ」として製品販売が企業から予定されており、この他にも電子広告、IoTセンサ向けの独立電源としての利用が期待される。また、AD法の全固体池適用性を示したことで、国内外での電池研究の専門家や専門機関にも注目され、全固体電池開発でのAD法活用の動きが活発化してきている。光MOD法による高輝度蓄光膜の開発に関しては、日中の太陽光励起を活用した部材の発光性能向上により、屋内のみならず屋外での適用が可能となり、高速道路の夜間走行や風雪などの視程不良時の発光が必須な各種インフラへの安全性向上に資する道路標示版やラインなどの新規部材へ応用されることで、安全、安心社会の構築に貢献するとものと期待できる。また、産総研独自技術として、平成29年度のセラミックス協会学術賞、21世紀記念倉田元治賞などを受賞した。 ●印刷フレキシブルデバイス(ウェアラブルセンサ、ストレッチャブルデバイス)の開発 常温大気下での高精細印刷デバイス製造技術の提供は、大面積の情報入出力デバイス、および形状自由度を有するフレキシブル情報入出力デバイスの高効率な製造を可能にする。これにより、情報入出力機器の製造時間および製造にかかる消費エネルギーを大幅に削減することが可能となり、その結果、情報入出力機器の市場への幅広い普及を促進させる。また、製造プロセスにおける加工温度の低温化、高速製造化は、製造するデバイスに対して加工工程中に損傷を与えてしまう可能性を下げることができるため、プラスチック基板などプロセス負荷に弱いデバイスの製造も容易にする。これは、フレキシブルデバイスなどのデバイス実装自由度を上げ、IoT社会向け情報端末デバイスを設置させることができる場所を大幅に拡充させる。これにより、社会生活における身近なセンサやタグなどの情報端末機器の普及に貢献し、物流の高効率化などに大きく貢献するものと期待できる。 ●極微量ウイルスの検出が可能な外力支援近接場照明バイオセンサの開発 現在の感染症予防対策は、マスクの着用やうがい・手洗いといったものから、空気清浄機や不活化効果のある薬剤を散布するものまでさまざまであるが、いずれも見えないウイルスを相手にしているため、感染を十分に防ぐには至っていない。この課題に対し、我々の開発した外力支援近接場照明バイオセンサにより、ウイルスを可視化し、容易に検出することによって、より確実な感染防止が可能になると考えている。アウトカムとして、インフルエンザ予防のための感染チェ- 27 -

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