平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
28/138

現場等において、高度化したデバイス・材料・製造要素技術が最大の効果を発揮するアプリケーションを想定し、社会実装と普及のためのバリューチェーンやエコシステムの構築にも目配りしつつ、スピード感のある橋渡し研究を推進した。 ●変量多品種IoTデバイス生産を実現するミニマルファブの開発と普及 産総研が提案し開発を進めている半導体デバイスの多品種少量生産システム・ミニマルファブを具現化し、社会実装する活動を展開した。ミニマルファブは、少量生産に適するよう、300 mmウェハを使う既存のメガファブと比較して、ウェハ面積が約1/1,000のハーフインチウェハと幅30 cmの超小型製造装置を用いる。 ミニマルファブを実現するため、平成27-29年度は、前工程装置群及びMEMS向け深掘りエッチング装置の人サイズ(H1440 mm×W294 mm×D450 mm)への超小型化(メガファブの通常の大きさはW2 m×H2.5 m×D5 m程度)と実動装置開発に成功し、これらを動作させてアルミゲートCMOSプロセスと、世界最高レベルの高精細微細化立体構造の形成を実現した。平成30年度は、遠隔操作の際にウイルスの侵入を防ぐために必須となる装置セキュリティ機能を有する遠隔操作可能な「世界最先端装置駆動システムµFIX」を開発し、µFIXを実機搭載するとともに、0.5 µmの微細寸法(ゲート長は3 µm以上)で、集積回路を実用化するために必須の基本演算素子(NANDゲート)動作と基本演算回路(SOI(Silicon On Insulator)-CMOSで加算器動作)を実現した。さらに九州センターにミニマルIoT実証ラボを、臨海副都心センターには試作拠点を設立し、ミニマルファブ技術の産業展開を進めた。平成31年度は、実用集積回路生産に必要なデバイスプロセスと装置遠隔操作の実用技術を開発する。 ●製造プロセスの高度化と複合化技術の開発 ものづくりにおける産業競争力強化に資するため、積層造形技術の高度化と、鋳造、塑性加工、切削、プレス、電解加工など、基盤的な加工技術の高度化と体系化、さらに相互の複合化により、加工速度の高速化と加工形状の複雑化などを可能にする加工プロセス技術の開発を進めた。 この技術開発における代表的な研究テーマとして、鋳造用砂型の積層造形では、平成27-29年度は、国プロ「超精密三次元造形システム技術開発」のプロジェクトリーダーとして装置の開発を主導し、材料の乾体化、高速硬化のための要素技術とシステム化の開発などにより、1.8×1×0.75 m3の造形空間を持ち、その空間内にプロジェクト目標である10万 cc/hで造形可能な大型積層造形装置を開発した。同サイズの海外製装置に比較して約2倍という世界最速の造形速度を実現し、造形装置1台で自動車部品など月産数千〜数万台の鋳造品への適用も可能となった。平成31年度は、造形材料の高強度化、無機材料の適用により、複雑形状の部材の加工を実現し、高温材料への適用を進めることで橋渡しを進めるとともに、新たな材料への適用や次のシーズ技術の発掘を行う。 ●社会で活躍する先進コーティング技術の開発 第4期は、エアロゾルデポジション法(AD法)や、光有機金属分解法(Photo-Metal Organic Decomposition Method: 光MOD法)などの産総研が世界を先導するコーティング技術を核に、橋渡しを進め、さらに多事業分野での民間企業への展開を目指した材料開発や成膜メカニズム解明に基づいたプロセスの高度化を行った。 産総研独自の技術であるAD法については、樹脂フィルム上へのポーラスTiO2膜のロール to ロール形成(真空中で成膜し連続的に大気中へ取り出し巻き取る)手法を企業に技術移転し、生産能力2万 m2/年のフレキシブル色素増感型太陽電池(DSC; Dye-sensitized Solar Cell)のパイロット量産機を積水化学工業株式会社が開発および導入し、平成29年度に「低照度でも発電(50ルクス以下)・薄い(1 mm以下)・軽い(ガラスの1/10以下)・曲がる・貼れる」という特徴を有する製品を同社が上市した。また、AD法や光MOD法を多用途に適用するために設立した先進コーティングアライアンス(ADCAL)は、平成28年2月の設立当初28社から現在46社に参画企業を拡大した。これに伴う参画企業の要望に応え、原料粒子の特性改善やプラズマ照射による表面活性化法(プラズマ援用AD法)などのハイブリッドAD法の導入により、様々な酸化物材料- 24 -

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る