平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
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技術までを一貫して開発する「橋渡し」の強力な推進組織であり、次世代のMRAM製造プロセス技術の開発促進を加速化するものである。 MTJ薄膜の3次元積層および大径Si基板上への全エピタキシャル素子の作製は、磁気工学・スピントロニクス分野において初めての成果である。これらのプロセス技術はSTT-MRAMの超高集積化だけでなく、様々な応用デバイス(磁気センサなど)にも活用できる重要な基盤技術である。 ●シリコンフォトニクス技術と光パスネットワーク技術の開発 シリコンフォトニクスによる光スイッチについては実用レベルまで技術を高め、国際会議で非常に高い評価を得た。ディスアグリゲーション方式によるダイナミック光パスネットワークについては従来のインターネット技術では不可能であった広帯域と低遅延を低コストで両立した。これら技術には、4K/8Kによる遠隔医療や自動運転などのアプリケーションを実現するインフラを実現するものとして大きな期待がかかる。 ●製造網コンセプト:スマート製造モデル化(デジタルツイン)技術の開発 様々な方法で実装されている多様な製造設備に共通したCPPS設計解を自動で生成する技術を確立することにより、企業毎、工場毎で大きく異なる現場の状況やニーズに対応した様々なCPPSの設計案を一から考えるのではなく、共通CPPS設計解と自社の設備を接続する方法を考えるだけで、CPPSを設計することができるようになる。この効率的なCPPS設計技術はCPPSの実現に必要不可欠であり、日本の製造業の生産性および競争力向上に大きく貢献する。 ●製造網コンセプト:プロセスセンシング技術の開発 次世代製造の接合技術と期待されている接着における内部剥離をリアルタイムで検出する技術は、学会で受賞(欧州接着学会Euradh2018受賞)し評価された。これは製造業において従来取得困難であった情報が可視化出来ることを示したという点で、産業界だけでなく学術界でも大きなインパクトをもって評価された事を示している。外観検査の自動検出、判定技術、in-situ評価、予測技術、機器稼働状況診断のための組込みシステムは、企業ニーズに基づくものであり、製品ライフサイクルアセスメント、製造現場モニタリング、機器モニタリングについて企業と共同研究を通じて現場導入を進めている。従来取得困難であった情報の直接的な可視化ができるようになるとともに、人工知能技術を活用した間接・拡張モニタリング技術の開発が進むにつれ、複数の作業者の熟練度合いなどの定量化も可能になってくると期待される。これらはいずれも、製造業の生産性および競争力向上に大きく貢献する。 ●MEMSセンサネットワークの開発 開発したフレキシブル面パターンセンサを用いて高速道路鋼橋の亀裂進展のモニタリングに成功したことは、道路などのインフラ健全性の無人常時モニタリングを実現し、増え続ける老朽化したインフラ全般の効率的な維持管理に貢献する。 ●IoTデバイス用全固体電池の開発 耐環境性・安全性に優れる酸化物型全固体電池の実現により、IoTセンサの応用分野が拡大し、新たなサービスの創生につながることが期待される。また、デンドライト成長のメカニズム解明は、より高エネルギー密度が期待される全固体リチウム硫黄電池などの革新電池の開発を促進する。 【課題と対応】 「橋渡し前期」における課題としては、革新的な技術シーズを橋渡しに繋げていくため強い知財の創出(量及び質)及び橋渡しのための効果的な研究開発テーマ設定が挙げられる。このため研究開発を加速する拠点環境整整備や知財の取り扱いを専門とする専門部署と協力して産業界のニーズを的確にとらえ、橋渡し先の企業とともに、技術シーズを中核とした国家プロジェクト等の実施によって対応する。下記、各研究テーマについて課題と対応を列記する。 - 22 -

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