平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
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ない現場での品質判定性能向上のために、見做し判定されたサンプルを有効な教示データ用サンプルとして活用する方法を開発した。平成30年度は、より実証に近いフェーズの研究として、接着内部の剥離発生、更に民間航空機認定CFRP実構造部材の初期損傷発生を、応力発光技術を用いることでリアルタイムにモニタリングすることに成功した。また、めっき工程における、外観検査により良品判定を行う装置を開発した。センサデータを活用するシステム構築では、生産システムの稼動状況を機械学習により診断できるモニタリングシステムを構築し、企業での実証実験により複数の情報から目的変数を見出し、結果を推定する手法の有効性を確認した。さらにディープラーニングやベイズ推定などにより現場データを解析することで、勘に頼る作業のうち2割程度の「予測できる無駄」を発見し、収益性向上や労働者の負担軽減を生産現場にもたらす可能性が示された。平成31年度は、共同研究先の製造環境等での実証試験を行い、開発技術の実環境での適用効果を検証する。 ●MEMSセンサネットワークの開発 無線センサネットワークを活用して、高速道路等の社会インフラの状態を常時・継続的・網羅的に把握することを可能とするインフラモニタリングシステムの実現が求められている。 NEDO事業「フレキシブル面パターンセンサによる橋梁センシングシステムの開発」(平成26-30年度)では、橋梁における亀裂等の検出・監視の自動化を目的として、フレキシブルシート上に極薄シリコンMEMS及び印刷グラファイト抵抗体による歪みセンサが高密度に配置され、貼るだけで構造物の歪み分布を計測可能なフレキシブル面パターンセンサを開発した。さらに、フレキシブル面パターンセンサと通信モジュール・受信機・エッジデバイス・小型太陽光発電パネルからなる橋梁センシングシステムを実現した。平成29年度は、開発した面パターン歪みセンサが市販の一般的な箔歪みゲージの1/100以下の低消費電力を達成し、太陽光発電のみでシステム全体を長期間動作させることに成功した。平成30年度は、8カ月以上の長期にわたって実際の高速道路橋で橋梁センシングシステムの実証試験を行い、コンクリートのクラックや鋼橋の亀裂周辺のひずみ異常分布の変化から亀裂の進展をモニタリングすることに成功した。平成31年度は、実用化に向けて技術移転する。 ●IoTデバイス用全固体電池の開発 新たなサービスの創生を可能とするIoTデバイスの普及のためには、電力の継続的供給が課題となっている。高い安全性と信頼性を持つ全固体電池は、IoTセンサデバイスと相性が良く、その実現と実証は今後の応用分野の拡大につながる。そこで、先進コーティングアライアンスを活用した企業連携により、素材開発からデバイス実装技術までの研究開発を行った。 平成29年度は、液体電解質並みのイオン伝導率の単結晶固体電解質について、品質安定化技術と加工技術を開発し、実用レベルの電流密度でも金属リチウムのデンドライト成長が起こらないことを実証した。平成30年度は、AD(Aerosol Deposition)法を用いて電解質と活物質の複合層からなる電極形成に成功し、実効容量の90%程度の容量で安定した電池動作が可能となった。また、単結晶を用いた固体電解質中のデンドライト成長のメカニズム解明のための評価・解析を行った。電極面積の拡大のために、工業的に単結晶の大型化が容易な引き上げ法での単結晶育成に成功した。さらに、新規SiO電極構造の開発により、従来の黒鉛電極と比べて5倍以上の高容量を達成した。平成31年度は、これらの部材化技術を用いた電池試作により、耐環境性、安全性の実証を行う。 【成果の意義・アウトカム】 ●STT-MRAMの生産プロセスおよび3次元集積プロセスの開発 平成28年度に開発したIrスペーサー層は、すでに世界標準になりつつある。産総研オリジナルのMgO障壁、CoFeB電極と併せて、平成31年中の本格事業化が見込まれるSTT-MRAMに搭載され、システムLSI混載の不揮発性メモリとしてモバイル機器の低消費電力化と低価格化に寄与する期待される。 TEL冠ラボは、産総研とTELが緊密に連携して次世代MRAMのための新材料・プロセスから量産- 21 -

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