平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
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元積層に世界で初めて成功した。平成31年度は、新規材料を用いた全エピタキシャルMTJ素子の生産プロセスを開発し、10 nm技術世代のSTT-MRAMの基盤技術を確立する。 ●シリコンフォトニクス技術と光パスネットワーク技術の開発 超スマート社会構築に向けて、情報通信ネットワークの数桁に及ぶ低電力化を実現するダイナミック光パスネットワークの開発を進めた。その基本エンジンであるシリコンフォトニクスによる光スイッチは、すでに商用化されているMEMSなどを利用した光スイッチに対して、高速・高信頼・低コスト・小型などの優位性がある。 平成27-29年度は、光スイッチのポート数増大を目指し、低損失・低クロストーク・広帯域化などの要素技術を構築、実用化に目処を付ける水準となる32ポートの光スイッチを実現した。また、ダイナミック光パスネットワークについて、その運用に不可欠なディスアグリゲーション方式(ハードウエアの構成要素を機能別にモジュール化し、制御ソフトウエアとの連動によって構成や使途を自由に変更可能とするプラットフォーム)の導入を提唱し、国際会議で動態展示を行い、さらに、都内の商用フィールドで実運用を開始した。平成30年度は、光スイッチの構造やプロセス条件を最適化し、8ポートスイッチにおいて、世界で初めてサブシステムレベルで35.2 Tbit/sのスループットをわずか0.51 pJ/bitの低消費電力で完全動作させることに成功した。これは、同スループットの電気スイッチの電力の1/1000程度である。また、32ポートでサブシステム動作可能な偏波ダイバーシティ構造スイッチを試作、評価した。平成31年度は、上記光スイッチの全パスに光信号を通し、切り替えを行うシステム実証実験を行うことで、32ポート光スイッチを複数使用し500ポート以上の大規模化の見通しを得る。 ●製造網コンセプト:スマート製造モデル化(デジタルツイン)技術の開発 分散した生産リソースを柔軟かつ効率的に活用するためにネットワーク化して高い付加価値を創出する「製造網(Web of Manufacturing)」のコンセプト実現を目指し、製造設備や生産システム全体を自動化、自律化するスマート製造のモデル化技術開発に取り組んだ。製造現場で用いられる設備や、その構成などは、企業毎、工場毎で大きく異なることから、複雑なシステムから得られるデータや設計・運用知識等を用いて製造システムの振る舞いをモデル化する技術に加え、モデルをつなげて相互にデータを流用するための標準化が求められる。 平成27-29年度は、センサやコントローラ等から取得される様々なデータをモデルのパラメータとして抽象化し、生産ラインや制御モデルとの関係構造を可視化した。その結果、製造システムのデジタルツインを構築するためには、センサデータや制御データ(例えば、主軸Zの回転司令値)に加え、機械の状態を抽象化した「機能」レベルの表現(例えば、主軸が停止しているかどうか)も不可欠であることを明らかにした。 平成30年度は、熟練技術者が重要視している暗黙知を、センサデータと制御データを機能レベルの表現へ接続する情報入出力モデルを開発し、産総研オリジナルのIT化支援データ可視化ソフト(MZ Platform)上にソフトウエアの雛型を自動生成するツールを試作した。さらに、情報入出力モデルの振る舞いの妥当性を検証するためのシミュレーションモデルを開発した。平成31年度は、雛形自動生成ツールを高度化し、情報入出力モデルの振る舞いを評価するシミュレーションモデルの構築手順を汎用化することで、サイバーフィジカル生産システム(Cyber Physical Production System: CPPS)設計支援技術を確立し、その有効性を検証する ●製造網コンセプト:プロセスセンシング技術の開発 プロセスセンシング技術は、製造網の中で、「生産設備、ライン、製品」の「劣化、障害、品質情報」を取得し、予防保全や予測の効率向上を目指す位置づけと考えている。従来の計測困難を克服する新規センシング材料の開発、多様な情報を活用する生産システムや製品などの状態を機械学習等も用いながら分析・評価する技術の開発、これらを統合して現場への実装するための技術の開発を行った。 平成27-29年度は、製造現場の静電気分布や応力発光を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部材の損傷評価の可視化に成功した。また、抜取り検査のような教示データとなるサンプルの少- 20 -

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