平成30年度研究評価委員会(エレクトロニクス・製造領域)評価報告書
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上に電圧トルクMRAM用MTJ素子を作製し、高効率の電圧書き込みを実証、および電圧トルクMRAM専用の高速駆動回路の設計などを試みる。 ●新超伝導材料の開発 高温超伝導材料の社会実装には、より高い臨界温度(TC)を有する新超伝導体の開発に加え、新超伝導体の薄膜化、線材化の技術開発などが不可欠である。今後、理論計算を援用した新超伝導体材料の開発を進めるとともに、新超伝導材料に適した薄膜作製技術、線材作製技術などの開発を推進する。 ●フレキシブル強誘電体材料の開発 デバイス毎の要求仕様に合わせて圧電性や焦電性などの材料物性パラメータの調整を可能にすることが、広く普及を図るための課題である。これについて、実測定とシミュレーションの検証を積み上げて高性能化を図る。また、簡易デバイス製造法としての塗布製造技術への適用性やデバイスの高耐久性化なども両立できるようにすることが課題である。この問題の解決に向けて、結晶構造-物性相関のほか、ドメイン構造とそのダイナミクスを調べるなど、微視的動作機構の解明に取り組む。 ●高品質グラフェンの低温成長技術とデバイス機能の開発 高品質単層グラフェンの低温成長については、エレクトロニクス素材(Si、SiO2、ポリマーなど)に直接成長することが課題であり、低温成長メカニズムの解明とラジカル反応の高度な制御を達成することにより対応する。中長期的課題は、この技術を次世代エレクトロニクス産業へ適用することであり、半導体デバイス等への合成、及び量産システムを実現するための橋渡し研究を強化する予定である。GOS型電子放出源については、大面積化に伴う絶縁膜の欠陥密度が課題であり、絶縁膜の高品質化をシリコンLSI分野で蓄積された知見を活かして実現することでこの課題に対応する。中長期的課題は放出電子のエネルギー分散であり、絶縁膜材料の最適化とグラフェンの結晶性向上により対応する予定である。 (2)「橋渡し」研究前期における研究開発 【背景・実績・成果】 橋渡し研究前期では、IoT社会実現に不可欠なネットワーク、センシング、電源など要素技術やデバイス量産化技術の実用化に向け、産業界のニーズを的確にとらえ、産総研が強みを有する技術シーズを中核とした国家プロジェクト等で産業界とともに課題解決を目指していく研究テーマを設定した。 ●STT-MRAMの生産プロセスおよび3次元集積プロセスの開発 システムLSI混載メモリおよび大容量メモリへの応用を目指した不揮発性メモリSTT-MRAMの開発が世界規模で進められており、その記憶素子として産総研が開発した基本材料(MgOトンネル障壁, CoFeB電極)を用いたMTJ素子が世界標準となっている。我が国の半導体関連産業の振興に向けて、STT-MRAMの高度化のための生産プロセスおよび3次元集積プロセスの開発を行った。 平成28年度は、垂直磁化MTJ素子の参照層用にIrスペーサー層を独自に開発し、直径20 nm以下の超微細MTJ素子の要求性能を達成した。平成29年度にTEL冠ラボを設立し、スーパークリーンルーム(TIA-SCR)の300 mmプロセスを用いて生産技術の開発に着手した。平成30年度は、ArF液浸露光などを用いて300 mmウェハ上にナノサイズMTJ素子アレイを作製し、MTJ特性およびそのバラツキのプロセス条件依存性を詳細に評価することにより、STT-MRAM生産プロセスの高度化に貢献した。また、平成27-29年度は、ウェハ貼り合わせと裏面Si基板剥離技術を用いた3次元集積プロセスを開発し、STT-MRAM用の多結晶MTJ素子の3次元積層に成功した。平成30年度は、大径Siウェハ上に作製した全エピタキシャルMTJ素子のCMOS回路上への3次- 19 -

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