平成27年度研究評価委員会(材料・化学領域)評価報告書
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-6- を用いる。TRLとは、技術開発研究過程において、重要な要素技術の成熟度を推定するため用いられる方法である。通常、TRL=9を最も成熟した技術とし、1 から9までの値でスケールすることによって、異なるタイプの研究・技術でもそれらの成熟度を均一にチェックすることが可能になる。各研究課題が第4期開始時にTRL上でどのフェーズにあり、第4期終了時にどのフェーズまで進めるのかを定め、常にこの目標と進捗状況とを比較することで、重点化する研究課題の選択や研究計画の見直しを機動的に行う。研究開発の進め方に関しても、目的基礎研究と「橋渡し」研究の両立のために、「民間資金を獲得すると目的基礎研究が加速され、それが新たな民間資金の獲得につながる」新しいモデルの構築を目指す。研究者個人だけではこのモデルの実現は困難であり、研究グループ/チームの総合力によって、企業との調整時間の増大や論文化へのタイムラグ等の課題の解決を図る。同時に、民間資金獲得の成功事例から抽出される方法論の職員全員での共有、(株)産業革新機構とユニットとの意見交流会による知財マネジメント強化といった、領域主導のアクションにより、職員一人一人の意識改革を行う。 さらに本領域の目指す新しい研究推進のモデル構築への意識改革を明快にし、その浸透を図るためにビジョン検討委員会を設置、独自に領域ビジョン「夢の素材で人を巻き込み、グローバルな価値を創る」を策定した。ビジョンの策定に当たっては、特に、経済・社会からの視点を重視するため、金融、商社、シンクタンク、コンサルタント、知財分野から6名の外部委員を招聘し、領域三役、研究ユニット長、そして各ユニットの若手・中堅職員代表から構成される事務局とで議論を重ねた。本ビジョンは、グローバルな価値創造に向けた研究課題を明確化し、領域の強みとコア技術、そして強化すべき課題を整理するものであると同時に、新事業のヒント提供等、材料・化学分野の企業経営者との対話ツールとしても、領域の活動の象徴となるものである。 また領域運営では、全国各地に所在する企業との連携を深めるため、関連する地域センターの研究拠点としての魅力向上を図る。研究ユニットが所在する東北センター、中部センター、関西センター、中国センターとつくばセンター間での連携した研究開発を実施し、地方創生に貢献する。地域センター強化に向けては、領域予算の積極的配分を行い、東北センターの低環境負荷型塗装技術、中部センターの無機・金属系部材の信頼性評価拠点整備、関西センターの機能性ガラス材料開発、中国センターでの瀬戸内在化学系企業への先端的分析・解析技術の提供と部素材開発促進といった、各地域センターが持つ強みを強化するとともに、そのポテンシャルを底上げする人材採用を行った。 (2)研究開発の概要 ①グリーンサステイナブルケミストリーの推進 持続可能社会構築に資する化学の研究開発として、高効率かつ低環境負荷での機能性化学品の製造と高度利用に向けた基盤技術、触媒による精密合成技術を重点課題と位置付けている。前者については、今年度計画から、医薬・農薬中間体として期待されるD-アミノ酸生産酵素の高機能化と、バイオ界面活性剤の高機能・量産化技術開発の成果を上げる。D—アミノ酸生産酵素の結晶化と構造解析、バイオ界面活性剤生産酵母のゲノム情報と網羅的遺伝子発現プロファイル、組換え株取得に

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