平成27年度研究評価委員会(生命工学領域)評価報告書
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-43- (4)研究人材の拡充、流動化、育成 (評価できる点) ・イノベーションスクール活動、バイオ実験の技術・実技のトレーニング、バイオインフォマティクスに関する講演会、e-ラーニングなどの活動により、幅広く国内外の660名を超える人材を育成指導しており、産総研の特色を活用したその人材育成活動実績は高く評価できる。また、クロスアポイント制度、連携大学院制度の活用による大学との人事交流や、大学、企業との人事異動などによって研究人材の拡充、流動化に積極的に取り組んでおり、その活動実績は高く評価できる。 ・北海道での専門学校生へのトレーニングは地域センターの取組みとしてユニークであり、バイオイメージングのコースは企業も巻き込みアジアに展開している点を高く評価できる。 (問題点・改善すべき点、助言) ・多様な研究人材の拡充という観点から、外国人研究者、女性研究者を積極的に採用する必要がある。外国人研究者、女性研究者の割合は、現状はそれぞれ10%程度であり、男女共同参画、国際化の観点からこの割合をそれぞれ20%程度まで増加させる必要があると考える。特に女性の活用については、将来のリーダー層を担えるような女性研究者の人材育成・登用に対して、ある程度の数値目標も設定する中で、計画的に取り組むべきである。 ・今後の産総研の発展を考えると、研究システムのグローバル化や海外の研究人材の組織への更なる取り込みも必要であると考える。そのための柔軟な人事制度の構築や環境整備が望まれる。 ・国内外を含め、もっと技術や知識のトランスファーをしてほしい。そのためのシステムを考えるべきだと思う。単に思い付きの中での連携や人材の拡充・流動化であってはならず、システマティックなシステムの開発を希望する。人材育成に関しても、もっと計画的にかつ戦略的な実施を考えてほしい。 ・本来的な意味での人材育成には時間がかかるものであり、短期間で評価できるものではないが、中長期的な視野に立った育成への取り組みを強化してほしい。産総研でポスドクをした若手が次にステップアップしているか、特に産総研以外の研究機関でポジションを得ているか、そうした点を中長期的にモニターしながら、日本のバイオ研究における優れた人材の供給源としての機能も発揮していってほしい。 4.総合評価 (評価できる点) ・目的基礎研究、橋渡し研究前期、橋渡し研究後期を一連の研究として実施するために、必要に応じて同領域内のみならず、他分野領域からも適切な人材を再配置して、異分野融合させた研究グループを構成することが可能な、高い自由度を確保した組織編成システムは優れており、実際にこのシステムが機能して、数々の優れた成果を挙げていることは高く評価できる。 ・全体の取組みとしては良い運営がなされ、研究が成果に結びついていると考える。予算としては運営費交付金が年々減少していく中で、外部資金特に民間資金の獲得の増額が強く求められているが、方向性としては正しいと思うものの、具体的な成果目標等への反映については慎重に行うべきであると考える。 ・研究組織の規模(人数)の割には、研究内容も多彩で高質な研究が多面的に展開され、世界レベルの独創的で優れた成果が創出されている。研究体制の枠組みも柔軟に対応していることは、内部での評価体制がしっかりしているからだと推察する。 ・幅広く質の高い基礎研究からユニークなベンチャー創出に至る橋渡し後期研究まで、数々の優れた業績が挙がっていると思う。特に後者は、産総研ならではの特色であり、高く評価したい。こうした高いアクティビティを今後も維持してゆくために、厳しい環境下にあっても、将来のピークの芽となる幅広い基礎研究と研究者の情熱をすくい上げて橋渡しにまで育ててきた良き伝統の双方を守ろうとする運営姿勢には敬意を表したい。 (問題点・改善すべき点、助言) ・幾つかの目標数値、成果数値の提示があり、成果の定量的評価への努力は認められたが、現段階では9段階もの評価を行う基準が曖昧である。数値設定は必ずしも本質を物語るとは言いがたい面もあり、もう少し荒くても良いのではないか。無理のない基準を設定してほしい。 ・想像以上に産総研ならではの取組みが芽吹きつつあるのを感じる。橋渡しを強化するとはいえ、基礎研究をしっかりやって行く、そこは当然である、という気概も聞かれて、大変に心強く感じた。アカデミックと産業界をつなぐ難しい立場ではあろうが、ある場面では知財は産業界に任せてビジネスバリューは企業に渡し、産総研は研究機関としてのプレゼンス向上に特化することも、日本の国力向上には必要ではないだろうか。基礎が枯れてしまうような研究所にはしない、という考え方の基盤は失わず、日本のイノベーションを世界へと牽引する研究機関であってもらいたい。

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