平成27年度研究評価委員会(生命工学領域)評価報告書
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-38- ・知財・ライセンス活動の強化は人材確保・育成も含めて重要。限られた予算を有効活用する上で、研究開発戦略と連動した知財ポートフォリオ・マネジメントを強化し、将来の実用化をにらんだ戦略的な知財取得、研究者への意識付けや知財の観点からの研究コンサルテーションの実施、企業への技術・研究成果の紹介・宣伝の徹底による効果的なライセンス活動・提携の実現を推進することを望む。 (2)研究開発の概要 (評価できる点) ①創薬基盤技術の開発 ・医療経済効果を考慮すると実用化研究が進みにくい難治性の希少癌(膵臓がん、胆管がん、卵巣がんなど)にチャレンジしている。医療機関と連携し、治験の実行が進んでいる。 ・ロボット支援技術、ゲノム情報の秘匿探索技術、糖鎖解析による診断技術、世界最大の天然物ライブラリを用いた天然活性化合物のスクリーニング技術など、数多くのナンバーワン、オンリーワンのコア技術を開発し、創薬のための基盤技術を広くカバーしている点、また、異分野融合によって実用化に取り組んでいる点が評価できる。さらに、解析技術・機器の標準化を主導している点も評価できる。 ②医療基盤・ヘルスケア技術の開発 ・糖鎖研究の強みを生かしてヘルスケア試薬の実用化が実現している。 ・ステルス型RNAベクターを用いた高効率iPS細胞作製技術、高感度レクチンアレイを用いた幹細胞評価技術、細胞の単一層配列技術などのナンバーワンコア技術を開発し、再生医療のための細胞操作・分化誘導技術、健康状態・未病状態の診断やマラリアなどの感染症の早期診断を可能とする高感度、迅速なディスク型診断チップの実用化、産業展開が進められている点が評価される。 ・再生医療のみならずグローバルヘルスを視野に入れた研究開発も展開されている点が評価される。 ③生物機能活用による医薬原材料等の物質生産技術の開発 ・微生物と昆虫の共生機構に基づいて昆虫の農薬耐性機構の解明を目指すアプローチはオリジナリティーが高く、新奇な農薬開発につながる発展性に富む研究課題であり、高く評価できる。また、植物工場での遺伝子組換え植物による動物用医薬品の生産技術は既に実用化段階に入っており、産業展開が進められている点が評価できる。 (問題点・改善すべき点、助言) 全体 ・3分野の課題に重点化して研究を進め、着実な成果が出ていることは評価できるが、全体を通じて各テーマへの研究資源の配分状況について、まとめた資料があると、全体が俯瞰しやすく、inとoutのバランスも含めたより踏み込んだ議論ができる。 ・産業界が産総研に望むことは、既存の分野を越えた、企業の研究所だけでは取り組むことが難しい研究・技術開発や、複数の領域に関わる融合研究等である。社会のニーズを見据えたイノベーションにつながるような課題設定とその課題の解決にむけたチャレンジを産業界と連携強化する中で続けてほしい。 ①創薬基盤技術の開発 ・3つの研究グループの横連携、融合研究が不足しているように感じられる。 ・実施課題のテーマの重要性は理解できるが、そのテーマ選定の過程や根拠が明確ではない。他にも重要な課題は多いと思うが、産総研のミッションとして何を課題とするかの作業過程が明確ではない。医薬リード化合物の探索に関しては、スピードはアップしたが、方法論における新たな戦略が必要である。 ・ヒト型汎用ロボットによる精度保証と優れた実験プロトコールの作成は、標準化を目指す上で強力なツールになると思われる。標準化を進めることは産総研ならではの業務である。 ②医療基盤・ヘルスケア技術の開発 ・幹細胞の評価技術として糖鎖評価技術に特化すると、橋渡しに向けた実用化への展開がかえって制限される可能性がある。幹細胞培養・分化制御技術の実用化段階でのボトルネックは高額な増殖因子、分化誘導因子のコストである。この経済性の問題のブレークスルーを目指すという視点での研究が不足しているように思われる。 ・産総研が世界に誇る糖鎖認識レクチンを用いた細胞評価技術を中核として、抗体、アプタマー、レポータータンパク質を用いた細胞評価技術、細胞の画像解析技術などを統合したハイコンテンツアナリシスによる細胞評価技術に発展させることが望まれる。 ・産総研で開発された優れた技術が世界標準となるよう、頑張ってほしい。その意味で、国内外の企業や研究機関との連携と技術供与の推進を図ってほしい。 ③生物機能活用による医薬原材料等の物質生産技術の開発 ・「創薬基盤技術の開発」グループとの連携は重要と思うが、その研究体制や方法論が見えない。

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