Vol4-12
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9AIST Today 2004.12火道を貫いた雲仙科学掘削地質情報研究部門 副部門長宇都 浩三写真 普賢岳北斜面の火道掘削サイト 約2000m2の敷地に高さ50mの櫓を設置し、国有林内には掘削用の林道を敷設した(写真提供:中田節也氏)。雲仙火山科学掘削は、平成11年度に開始された文部科学省科学技術振興調整費のプロジェクトで、産総研をはじめ、東大地震研究所など国内外の多数の研究機関が参加しています(計画の概要はAIST Today 2002年10号参照)。このプロジェクトの最大の事業である「火道掘削」が、ついに平成16年7月に平成噴火の火道を貫き、無事に工事を終了しました。雲仙火山では、平成3~7年の噴火の際に、溶岩ドーム崩落による火砕流が頻発し、44名の人命を含む大きな被害が発生しました。この噴火の調査から地震・隆起・山体変形など、多くの観測データが得られ、マグマの上昇・噴火過程の詳細なモデルを得ました。プロジェクトでは、マグマの上昇過程を実証し、噴火のメカニズムを理解する目的で、平成噴火のマグマの通り道である火道に到達するボーリング(火道掘削)を計画し、雲仙火山北側斜面の標高850m地点から平成15年2月に掘削を開始しました。途中、幾度かの中断がありましたが、計画を修正しながら、水平方向に約1.3km、垂直方向に約900m、掘削距離で2000m掘り進んだところで、平成火道に到達することができました。普賢岳直下の海抜0m付近には、新旧の火道が約500m幅の中に密集する「火道域」があり、平成火道もその中にありました。火道温度は、掘削前の予想に反して約200℃と低温でしたが、これは熱水活動により早く冷却したためと推定されます。これからの詳細な研究により、マグマの上昇過程の詳細が明らかにできるものと期待されます。噴火噴火静水圧場引張力場連結2相流体圧縮場応力勾配泡の分離1234567図3 クラックのアナログ実験の例3と5はクラック側面 他はクラック正面 矢印は液体の流れ 黒のスケールは3cm応力下でのクラックの挙動が明らかとなり、クラックどうしの相互作用などのアイディアも生まれました 3)(図3)。最近では、応力の下での割れ目噴火のアナログも再現しました 4)。クラックによるマグマ供給系モデルも生まれ、雲仙岳、有珠山、三宅島の噴火でも、マグマはクラックによって移動すると考えるのが常識となってきました。この考え方は、複成火山と単成火山の違いを説明するのにも応用されています。この実験は、広く一般向けの普及活動や理科教育にも利用されています 5)。

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