産総研レポート 2015
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62第三者発見研究開発の推進労働慣行公正な事業慣行社会との共生人 権環境報告組織統治第三者意見発行に寄せて産総研レポート2015発行に寄せて 産総研では、2004年度に「環境報告2004」を発行して以降、2010年度からはつくばセンターに加えて報告の対象を全国の研究拠点に拡大するとともに、環境および労働安全衛生に関する活動、組織の社会的責任(CSR)に関する活動の報告を追加し、ISO26000に基づいて構成した「産総研レポート 社会・環境報告」として発行してきました。 今回の報告書では、2015年4月よりスタートした5年間の第4期中長期目標期間において、産総研の最重要ミッションとして位置づけられている「橋渡し」機能の強化に向けた取り組みを報告しています。巻頭特集では、パワーエレクトロニクスの実用化研究を紹介するとともに、研究特集では、カーボンナノチューブ、スピントロニクス素子、セラミックス膜のそれぞれ実用化研究を紹介しています。また、それらの橋渡しを推進するためのオープンイノベーションへの取り組み、人材育成への取り組みも報告しています。 「社会の中で、社会のために」をスローガンとする産総研として、多くのステークホルダーの方々が知りたい産総研の活動を分かり易く紹介することは、私たちの義務であり使命でもあります。本報告書を通じて、社会と一層深い信頼関係を築くことに繋がるよう努力していく所存です。四元 弘毅 企画本部 副本部長 特定非営利活動法人 循環型社会研究会 理事 山口民雄 社会的責任レポートの国際的なガイドラインであるGRIガイドラインが第4版と版を重ねているように、レポートは社会状況の変化やそれに伴う社会の要請に応える内容でなければなりません。そのため、発行組織は、常に国内外の社会に耳を傾け継続的改善に努めるとともに毎年訴求テーマを設けることが重要です。前者については、私の初稿に対するコメントや読者の要望を現場にフィードバックし、対応されていることで継続的に改善が図られています。 後者についても、毎年的確にテーマを選択し、トップメッセージや特集で訴えてきています。本年は「産業界においては、国際的に競争力のある企業が徐々に減少し、(中略)世界市場における存在感が低下しつつある」(トップメッセージ)という危機意識とともに本年から開始される第4期中長期目標の基本方針から“橋渡し”というテーマが設定されたと考えます。基礎研究に成功しても最終製品に結び付くことなく、技術が埋もれてしまう「死の谷」があると本レポートでも報告されていましたが、昨今のわが国企業の存在感低下から一層「死の谷」を超える“橋渡し”が重要かつ切実な課題になってきています。本報告書ではこの点について、トップメッセージで言及するとともに、巻頭特集(4頁)、研究特集(6頁)で成功事例を詳細に報告しています。これらは具体的に成功した背景が記載されており、編集方針にある「わかりやすく、親しみやすい説明を通じて、さまざまなステークホルダーの皆さまに理解いただく」ことに成功しています。 一方、経済産業省と文部科学省は2014年12月に大学や公的研究機関、民間企業間でそれぞれ雇用契約関係を結び、各機関のもとで業務を行い社会保険などで不利益を被らない仕組みである「クロスアポイント(相互雇用)制度」の基本的枠組みを制定しました。この枠組みは基礎研究を事業化につなげる“橋渡し”には有効との欧米の例もあり、産総研においても積極的に活用を開始したとの報道があります。しかしながら、本制度についてはトップメッセージには言及されているものの、本文には“橋渡し”との関連で本制度の活用例と今後の展開について詳述されていないのが残念です。来年以降、本制度の有効性や活用計画、成果について記載されることを期待します。 レポートの読者は未だ理化学研究所のSTAP細胞問題の衝撃が残り、各公的機関がどのように研究ミスコンダクトに対応しているのか、という点に大きな関心が寄せられています。この点について、昨年は「研究者行動規範に係る研修」の実施について触れるのみで、読者の関心に十分に応える内容ではありませんでした。しかし、本レポートでは、2015年4月に適用開始された新たな「研究活動における不正行為への対応に関するガイドライン」に則った産総研の改革骨子や同月に改訂された産総研の「研究者行動規範」の紹介により読者の関心に対応するものとなっています。今後は本ガイドラインにも「履行状況調査を実施し公表」とありますので、今回記載された改革が確実に履行されているか否かを本レポートで報告されることを期待します。 ISO26000には社会的責任レポートの備える条件が箇条書きされています。その中で「バランスが取れている」があげられ「組織活動の影響に関する否定的な情報を省くべきではない」とあります。本レポートでは、環境に関する事故の報告もあり、条件を一定満たしていますが、さらに多方面から情報を幅広く収集し記載する努力を期待します。 最後に今後の活動と記載についての期待を。“橋渡し”によって卓越した商品が誕生しても、それだけでグローバルな市場に浸透するとは限りません。さまざまな国際ルールの中で、競争条件に影響を受け、市場展開で不利になることが少なくありません。海外先進企業では積極的にルール形成を展開していますが、わが国では消極的との指摘もあります。産総研では従来から「国際標準化の推進」を積極的に展開されてきましたが、企業のルールへの対応がルール適応型からルール形成型への転換が強く求められている今日、政府、企業と連携した多様な新ルール形成に取り組まれることを期待します。循環型社会研究会:次世代に継承すべき自然生態系と調和した社会の在り方を地球的視点から考察し、地域における市民、事業者、行政の循環型社会形成に向けた取り組みの研究、支援、実践を行うことを目的とする市民団体。研究会内のCSRワークショップで、CSRのあるべき姿を研究し、提言している。�URL:http://junkanken.com/ 再生可能エネルギーネットワーク開発・実証 再生可能エネルギーネットワーク開発・実証産総研レポート2015 社会・環境報告書第三者意見

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