産総研レポート 2015
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04組織統治研究開発の推進労働慣行公正な事業慣行社会との共生人 権環境報告組織統治パワーエレクトロニクスの実用化を先導 電力の省エネに絶大な効果を発揮するパワーエレクトロニクスは、次世代スマートグリッドの実現を支えるキーテクノロジーです。産総研はパワー半導体に必要な世界最高レベルの要素技術を確立し、日本企業と共同で実用化への道を拓きました。約35年にわたる研究の蓄積が、技術の“橋渡し”を成功に導いた好例です。先進パワーエレクトロニクス研究センター 研究センター長 奥村 元(おくむら はじめ)半導体材料の基礎研究からスタート パワーエレクトロニクス(パワエレ)とは、半導体を使って電圧や電流、周波数などを自在に変換したり制御したりする技術です。その中でも、家電、IT機器、自動車、鉄道など、社会のさまざまな分野で電気の変換ロスを小さくするため、従来のシリコン(Si)半導体に変わるワイドギャップ半導体を用いたパワーエレクトロニクスへ期待が高まっています。 産総研がワイドギャップ半導体研究に取り組み始めたのは、旧工業技術院電子技術総合研究所時代の1970年代後半でした。当時主流だったSi半導体よりバンドギャップの大きいワイドギャップ半導体の将来性を見越し、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどの材料研究をスタートさせたのです。特に注力したSiC半導体は、Si半導体に比べ高耐圧、低損失、高速動作、高温下での動作など優れた特徴を併せもち、広範な応用可能性が期待されていました。 「当初の想定応用先は、光デバイス、次いで高温や放射線に強い耐環境デバイスなどでした。パワエレ機器としての電力変換装置への応用に注目が集まるようになったのは1990年代半ばです。その後大きな契機が2つありました。一つは1998年から2002年にかけて実施された国家プロジェクト『超低損失電力素子技術開発』で、これによりSiC半導体の基礎的な技術を開発できたことです。もう一つは2008年頃からSiCパワエレ関連の国家プロジェクトが複数走り始め、同時に実用化に向けた研究インフラが一気に整備されていったことです」と、先進パワーエレクトロニクス研究センター長の奥村元は今日までの歩みを語ります。産業変革研究イニシアティブとTIA 超低損失電力素子の国家プロジェクトが進む中、2001年に工業技術院などが統合され、独立行政法人として産総研が発足し、研究成果の実用化が方針巻頭特集

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