2013
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オープンイノベーション16■ オープンイノベーション地球の恵み 地熱・地中熱エネルギーの活用 エネルギー問題や環境問題の切り札の一つとして、地熱・地中熱が脚光を浴びています。日本には資源と技術が揃っていながら、これまで開発が足踏み状態でした。しかし今、満を持して本格的な開発と普及に向けた動きが活発化しています。研究特集:産総研のエコな研究② 再注目された地球の熱資源 最近、地熱発電や地中熱を利用した冷暖房などが注目を集めています。地熱は地球中心部からの熱資源を利用するもの、地中熱は地上との温度差を利用するもので、どちらもCO2削減効果が高く、純国産資源で、天候に左右されず安定して使えるなど、とても大きなメリットがあります。 それなのに普及が進まなかった理由は、エネルギー政策と密接に関連しているためです。特に地熱発電は、オイルショック後一気に開発が進んだものの、石油調達が容易になると新規開発が途絶えました。再び脚光を浴びたのは、地球環境問題や東日本大震災を背景に、再生可能エネルギーへの関心が高まったここ数年です。導入時の補助金制度や再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買取り制度など、支援策が次々と打ち出され、まさに開発と普及拡大の好機を迎えています。 地熱の研究に約30年間携わってきた阪口圭一研究グループ長は、「今は研究の再出発ともいえるとても重要な時期。地熱・地中熱は、適切に開発すれば末永く社会に役立つ資源です。一過性のブームで終わらせず、日本の将来を支えるエネルギーの一つとしてぜひ定着させたい」と意気込みます。 信頼性の高いポテンシャル評価を 地下のどこに、どれだけの熱資源があるか。それをなるべく正確に示すことが、地熱・地中熱の利用を広げる足がかりとなります。そこで、産総研が120年以上にわたって蓄積してきた日本全国の地質・地下水のデータを活かし、さらに新たな調査手法を開発しながら、地熱資源マップや地中熱ポテンシャルマップの作成を進めています。 阪口研究グループ長が手がけるのは、火山地域の地質調査に基づく地熱系のモデル化です。また、産総研発行の地熱資源マップのデータに基づいて地熱資源量を評価。その成果は、エネルギー政策や地熱開発の基礎資料として役立てられます。 安川香澄研究グループ長は、電気・電磁気探査という方法で地熱資源を調査しています。地熱開発には、熱と水と容れ物(地下の透水性の高さ)の三要素が必要です。電気・電磁気探査により入れ物と地下の水の流れがわかり、地熱貯留層が長期的な発電に適した地下構造をしているかどうか把握できます。 加えて、地熱資源は常に地面の下で動いているため、開発後もモニタリングを続け、地下の変化を監視しながら運用していく技術も重要です。 一方、地下水研究グループの内田洋平主任研究員は、地中熱ポテンシャルマップを作成するため、現地調査と数値解析を組み合わせた地中熱ポテンシャル評価手法の開発に取り組んでいます。地下の温度分布をトレーサーとして広域の地下水流動系を解明するという、水文学的な視点から地中熱にアプローチしているのが特徴です。 多段階利用と育てる地熱発電 火山国日本は、世界第3位の地熱資源大国です。その約8割が国立公園内にあるため利用が制限されてきましたが、2012年3月の規制緩和で条件付きながら開発の可能性が開けました。また利用法について、安川研究グループ長は地熱の多段階利用に注目し、「蒸気発電より温度が低めでも発電できるバイナリー発電をはじめ、一度使用して少し冷めたお湯や蒸気を、食品加工、温泉、温水プール、ハウス栽培、

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