2013
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オープンイノベーション15オープンイノベーション ■ 評価されなければ世界にアピールすることはできません。しかし、現時点では長期信頼性を評価するものさしがなく、寿命の定義も不明確です。こうした状況を打破するため、土井卓也主任研究員は新しい信頼性試験方法の開発に取り組んでいます。 「日本の太陽電池は品質が良いのに、現在のIEC(国際電気標準会議)規格では、例えば日本の優れた製品と海外のほどほどの製品とを差別化できません。そこで私が取り組んでいるのは、良いものは良い、悪いものは悪いと評価できる試験方法をつくること、もう一つは屋外で見られる不具合を再現するような試験方法をつくることです」 IEC規格試験の高負荷化(延長・拡張)については、“アジア基準認証推進事業”において、太陽光発電技術研究組合、電気安全環境研究所、佐賀県と共同で検証しています。また、屋外環境における劣化の再現については、複数の劣化要因を組み合わせた試験法や試験時間を短縮する試験法などの開発をコンソーシアムで実施。増田連携研究体長は「長期信頼性を可視化できる試験方法をつくり、将来は国際規格の提案を目指します」と目標を掲げています。 人材育成や地域貢献を使命として 産総研九州センターにおける連携研究体は、他にもさまざまな使命を担い、幅広い貢献を目指しています。 1つ目が成果の公開と人材育成への貢献です。「コンソーシアムで得られた知見を、日本の太陽光発電産業全般に役立てたい」という増田連携研究体長の考えから、研究成果は必ず公開されています。さらに、「研究成果を対外発表させることで、若手研究員の育成につなげます。人材育成は産業の継続的発展を支えるものであり、重要な目的の一つです」と位置づけています。 2つ目が学術的な貢献です。これまで日本ではセル開発に重きをおく傾向にありましたが、連携研究体の活動が注目され、モジュール分野の学会が活発になってきました。今後、多くの研究者の参入が期待されます。 3つ目が地域貢献です。九州には太陽電池モジュールの部材メーカーや関連企業が集積し、住宅への太陽光発電の普及も進んでいます。産総研は、包括協定を締結した佐賀県をはじめ、九州各県の公設試験研究機関と連携を深めるとともに、地場企業への研究成果の還元に努めています。また最近では、鹿児島県内で火山灰が太陽電池モジュールに及ぼす影響を調べるなど、地域の特性に応じた研究にも取り組んでいます。 こうして産総研九州センターで日本の太陽光発電技術がパワーを蓄え、関連する国内産業を力強く牽引しようとしています。信頼性試験法開発のための温湿度試験装置産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター太陽電池モジュール信頼性評価連携研究体長増田 淳(ますだ あつし)産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター太陽電池モジュール信頼性評価連携研究体主任研究員 土井 卓也(どい たくや)産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター太陽電池モジュール信頼性評価連携研究体主任研究員 原 浩二郎(はら こうじろう)

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