2013
16/64

オープンイノベーション14■ オープンイノベーション研究特集:産総研のエコな研究①太陽電池モジュールの長寿命化と信頼性評価 太陽光発電に関する優れた技術をもちながら、国際競争力で遅れを取る日本。産総研九州センターでは、その課題に挑むためメーカーの垣根を越えたコンソーシアム型の共同研究体制をつくり、国内外が注目する数々の成果を送り出しています。 国際競争力のカギを握る周辺部材 かつて世界シェアの5割を占めた日本の太陽光発電産業は、今では1割未満まで急落。国際競争力の強化が緊急の課題となっています。そのためには、変換効率の向上、製造コストの削減、モジュールの信頼性向上・長寿命化の3つが条件です。中でも長寿命化のカギを握るのは、セルそのものよりも周辺部材。気密性確保のため周辺部材やモジュール工程を改良しなければ、セルの性能を長期間維持することはできません。 そこで、産業界とともに研究開発を進めるため、2010年10月、産総研九州センターに“太陽電池モジュール信頼性評価連携研究体”を設立。高付加価値モジュールの試作・評価と、屋外での発電量および長期信頼性の評価をしています。 「太陽光発電産業を発展させるには、異分野の連携による技術開発が必要です。そこで、産総研がオープンイノベーションハブ的な機能をもち、日本全体の技術力の底上げを目指します。第Ⅰ期の2年間はモジュールの試作・検証の場を提供することを主眼とし、2011年からの第Ⅱ期は基盤的な研究にシフトしました。部材メーカーだけでなく、太陽電池メーカーとの連携も強化されています」と語る増田淳連携研究体長。オールジャパン体制の足固めができたようです。 技術革新で発電コストを下げる 「太陽光発電を真のエネルギー源としていくには、技術革新によって発電コストを下げる不断の努力が必要」と、連携研究体のメンバーは強い使命感で結ばれています。産総研九州センターには国内の大学・研究機関で唯一となるフルサイズモジュール試作・評価ラインや長期屋外曝露施設があり、これらを活用してコンソーシアムからさまざまな研究成果を送り出してきました。 成果の一例は、太陽電池の劣化要因が水分ではなく酸であるという発見です。これまで、バックシートの水蒸気透過を抑えることが長寿命化のカギと信じられてきました。しかし、劣化の直接的な原因は水分と封止材が反応して発生する酸であることを突き止め、部材設計の新たな指針を示すことができました。 もう一つ、原浩二郎主任研究員が手がけるPID対策技術の開発が注目を集めています。「PIDというのは、メガソーラーで太陽光発電パネルの出力が大幅に下がる現象です。それを抑えるため、酸化チタン系の複合金属化合物薄膜をガラス基板にコーティングする技術を開発しました。引き続き研究を進め、PID現象のメカニズム解明に取り組みます。一連の研究により、高効率で長寿命な安いモジュールが作れれば、国の政策に頼らなくても太陽光発電が普及し、関連産業を活性化できる。それが私の目指す形です」 PIDの研究には、窯業が盛んな佐賀県の地場産業・技術が活用されています。 信頼性のものさしを国際規格に 課題はまだあります。たとえ技術革新によってどれほど優れた太陽電池モジュールを開発しても、正しくモジュール屋外曝露試験設備 フルサイズモジュール試作・評価ライン

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る