2011
21/58

るでしょう。」 いま、LED照明用の新たな標準を、産業界が待ちわびています。標準には、ユーザが信頼性の高い値を得るのに多くの手間を必要としないこと、値がどれだけ信頼できるかを示す「不確かさ」が評価されていることも必要で、産総研では、これらの課題を克服しつつ、分光全放射束標準を初めとするLED用の新たな標準の供給を数年以内に開始することを目指しています。■標準をつくるという責任 産総研が作る標準は、日本の国家標準となりますが、各国の標準を比べ合う「国際比較」という世界的なテストに参加し、国家標準が正しいか、世界的にも一致しているかを確認することも必要です。 「これまでの我々の国際比較結果は問題のない範囲内に収まっていますが、もし問題のある結果が出たら世の中にとても大きな影響が出てしまいます。標準の研究者は、そのような懼れを常に持ち、自分の出した値が本当に正しいのか、もしかすると評価に不十分な部分、機器の不具合等があったのではないかなど、真剣に悩んで疑ってかかるのが常です。いわば疑り深い標準オタク(笑)、良く言えば検証意欲のとても高い人間の集まりです。」 消費者が安心して製品を購入できるよう、私たちの見えないところで神経をすり減らすような標準の開発が今日も行われています。写真中央の積分球は内径1.65 mの大型装置。光取り出し口からの光を分光器で測定する積分球の内部。標準光源と被測定光源を付け替えて比較測定を行うしてきました。 しかし、LED照明のスペクトルは千差万別で、各々のスペクトルに対して色補正係数を評価する手間は従来光源とは比べものになりません。よって、この困難を克服できる方法及び標準が求められています。■究極の分光全放射束標準 「積分球を用いたLED照明の全光束評価を従来照明と同様に簡単にできないか」というユーザの声に応えるべく、光放射計測科の座間達也科長らのグループは、「ものさし」となる標準として、別の標準を使うことを考えました。これが「分光全放射束標準」です。 分光全放射束標準では、光が各波長で単位時間・単位波長幅あたり運ぶエネルギーで定量化されています。よって、積分球の光の取り出し口に分光器を設置し、この光源と評価対象の光源を積分球+分光器を介して比較して分光全放射束を測定し、これに人間の目の感度をかけ波長積分すれば、LED光源についても積分球を用いた簡便な全光束評価が可能になると座間科長は言います。 「誤解を恐れずに言えば、分光全放射束標準はある意味究極の標準で、今までで一番情報量の多い標準と言えるでしょう。ユーザに広く使われているインフラを基本に考えた上でLED光源に対する全光束測定を簡略化することを念頭に置いていますので、ユーザ負担の低減も期待されます。LED照明の種類が増え、今までと全く違うスペクトルをもつものが出てきても、この分光全放射束標準でかなりのところまで対応でき計測標準研究部門 光放射計測科研究科長 座間 達也(ざま たつや)おそ19オープンイノベーションオープンイノベーション

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る