2011
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術は世界唯一の技術であり、他にないオリジナリティとアドバンテージを確立しています。」 こうして大幅な時間短縮を実現したことにより、データセンター内で積極的に実行場所の配置を調整でき、より多く、長くサーバをサスペンドできるようになるのです。この研究成果を発表した広渕研究員は、論文賞や学会のデモンストレーション賞など、すでに4つの賞を受賞しています。デビュー目前の「Yabusame(やぶさめ)」 現在は、この技術を実用化しようとしている段階です。「要素技術ができたからといって、そのまま世の中で使えるわけではありません。プログラムを頑強にし、24時間365日常に正しく作動するよう、ソフトウエアをプロダクションレベルにする必要があります。そういう作業をきちんとできるのが、産総研の特徴です」と、工藤知宏研究グループ長は実用化までの道筋を語ります。 また、実用化を目前にして、伊藤智副研究部門長はこのシステムに「Yabusame(やぶさめ)」という印象的な名前を付けました。「日本発の技術であることと、馬に乗って走りながら矢を射るというスピード感をイメージしました。」とその理由を語り、さらに普及の見込みについては、「最近はクラウドがトレンドとなり、顧客は、どこで、どういうマシンが動いているか気にしなくなってきました。そのためデータセンター事業者は、我々の技術を使いやすくなるでしょう。また、東日本大震災では停電によりメール等の情報システムが使えなくなる経験をしました。これを機に、継続的に動かせる環境でシステムを運用する必要性が見直されるのではないでしょうか。」と、クラウドの進展が我々の技術普及を後押しすると考えています。震災対応への貢献も視野に 高速ライブマイグレーション技術は、遠隔地のデータセンター間でも応用することが可能です。広渕研究員がいま考えているのは、地震速報をうまく使い、大きな揺れで変電設備が壊れてサーバが止まってしまう前に、東京で動いているサービスを例えば大阪に移すという技術です。バッテリーでバックアップされている時間内にデータを移動できれば、震災のときこそ必要とされる社会サービスを継続的に提供できるようになります。 もちろん平常時でも、負荷がキャパシティを超えそうなデータセンターから、比較的余裕のあるデータセンターへサービスの一部を自動で移動するなど、さまざまな場面で役立つでしょう。こうした遠隔地間の移動については克服すべき課題も多く、これから本格的に研究をスタートさせるところです。 「産総研では論文を書いて終わりではなく、実用化レベルまで技術の完成度を高める研究に携われますし、そういう部分を評価してもらえるのでやりがいがあります。世の中に出したとき、『面白いね』『使いたい』と言われる技術を開発したいという気持ちが、研究者としてのモチベーションになっています」と語る広渕研究員。世界をあっと驚かせるような技術の創出に、今後も期待がふくらみます。情報技術研究部門 インフラウェア研究グループ研究員 広渕 崇宏(ひろふち たかひろ)情報技術研究部門 副研究部門長 伊藤 智(いとう さとし)情報技術研究部門 インフラウェア研究グループ研究グループ長 工藤 知宏(くどう ともひろ)17オープンイノベーションオープンイノベーション

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