2011
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現在の産総研のサーバ室。サーバの性能が向上し、大幅に台数を減らして運用できるようになった既存のライブマイグレーションと新開発の高速ライブマイグレーションの比較。ムービーを並べて見ると、移動にかかる時間の差が歴然データセンターの省エネルギー化節電のカギは片寄せとサスペンド ITが消費する電力は、我が国の総発電量の4~5%を占めます。グリーンIT推進協議会によると、2005年の国内データセンターのエネルギー消費量は年間約150億kWhで、このままいくと2025年には年間約600億kWh、2050年には年間約1,170億kWhに達すると試算されています。 こうしたエネルギー消費の大きなデータセンターの省エネ化は、世界中で研究が進められているホットな分野です。広渕崇宏研究員らが開発した技術の基本的な考え方は、例えばノートパソコンを閉じてサスペンド(一時停止によるスタンバイ状態)にすると消費電力は10分の1以下になりますが、そういう技術をデータセンターのサーバに活用しようというものです。CPU的にみるとデータセンターのサーバは20~30%しか稼働していないのが現状なので、なるべくサービスを少ないサーバに片寄せ(集約)して1台の仕事量を増やせば、使っていないサーバの電源を落とすことができます。 目標は、国内データセンターの消費電力を30%削減すること。もし、集約によりCPU稼働率を60~70%まで上げてサーバの半数をサスペンドできれば、サーバの消費電力を50%削減でき、極めて高い省エネ効果が期待できます。サービスを止めずサーバを止める データセンターでは24時間365日さまざまなサービスを提供しています。これらのサービスを停止することなく、集約とサスペンドを行わなければなりません。この時中心となるのは、マイグレーションと呼ばれる、サービスの実行場所を切り替える技術です。これは、仮想マシンを利用して、動いているサービスを停止することなく他のサーバに移動するものです。バラバラに動いているサービスを、マイグレーション技術を用いてなるべく少ないサーバに集約すれば、未使用となったサーバをサスペンドすることができます。産総研が開発したマイグレーション技術の独自性について、広渕崇宏研究員は次のように解説します。 「ポイントは、サービスの実行場所を切り替えるとき、既存の手法だと1~2分かかるのに対し、私たちが開発した技術を使うとわずか1~2秒でできるところです。既存の手法は、全部のデータを一度にコピーしてから宛先で実行をスタートするため、大容量のデータをネットワーク越しに転送しなければサービスが動いている場所を切り替えられませんでした。一方、私たちの手法は、必要最小限のデータだけ宛先にコピーして、先にサービスが動いている場所を切り替え、後から必要になるデータを持って来るという方式をとっています。サービスを集約するアイディア自体は他の研究機関でも持っていましたが、サービスを1~2秒で移動できる高速ライブマイグレーション技省エネや節電が強く叫ばれるいま、「グリーンIT」が一つのキーワードとなっています。とくにターゲットとされているのが、消費電力の伸びが著しいデータセンターです。その省エネに役立つ画期的な技術開発が、国内外の注目を浴びています。研究特集:産総研における省エネルギー研究 ●216オープンイノベーションオープンイノベーション

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