産総研LINK No7
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新たな市場をつくり出すべく動き出した。 社長には、早くから「まほろ」の可能性に注目していた髙木英二氏が就任した。髙木氏はライフサイエンス分野の複数の企業の代表取締役を務めてきた経営者で、夏目とは以前から「まほろ」の将来性について、議論をしていた。髙木氏は言う。 「商社にいた時代に私が感じたのは、技術をもっている会社は、その技術を前面に出して売るけれど、売り方と市場との間にはギャップがある、ということでした。技術者たちは技術の素晴らしさを語りたがる傾向がありますが、それでは使い手には魅力が伝わりません。技術を売るということは、使い手のメリットがどこにあるかを伝え、『これは、皆さんのしたいことを可能にする技術である』と示すことに尽きるのです。だから『まほろ』も、この装置でしかできないアプリケーションを見つけ、確実に市場にその効果を伝えていくことで、ワン&オンリーの存在に成り得ると考えています。そうすることで、新しいコンセプトを受け入れる市場をつくっていけるのではないでしょうか」 これまでなかった市場でその技術の価値が認識されれば、市場のデファクトスタンダードになり、普及が広がる。そうなると研究者のイマジネーションは「まほろ」によって刺激され、さらに用途は広がっていくはずだ。作業スピードやスループットなど、人間の作業との単純な比較ではなく、研究開発サイクル全体でのメリットを考えたときに、初めて「まほろ」の価値の大きさがわかってくる。髙木氏はそう考えた。 「事業化するには、技術、製品の価値を正しく伝えていくことが大切です。現在はそれを理解し、発信力ももつ研究者たちと共同研究をしながら、成功事例を積み重ねているところです」と、髙木氏は言う。 RBIの「まほろ」にかける理想は高い。一ベンチャー企業が手掛ける事業であっても、国の成長戦略を担う国家プロジェクトのように社会に貢献したいと考えている。それは「まほろ」がライフサイエンスの世界に新しい市場を開拓し、産業面でイノベーションを起こすという期待に加え、国が取り組むべき課題の解決にも貢献するはずだという、大きなビジョンを描いているからだ。 国が抱える課題の解決と、バイオメディカル用ロボットがどうつながるのだろうか。例えば、研究者としての経験が長い夏目は、育児などに伴う時間的な制約から、優短時間化、ラボレス化の実現で社会の課題解決にも貢献キーポイントKEY POINT1ライフサイエンスの研究現場に見られる膨大な手間作業から人間を解放する。2人間の能力の置き換えではなく、人間と協業することで不可能を可能にする「まほろ」。3ビジネスモデルをつくり、新たな市場の創出を目指して、自らベンチャー企業を起こす。BUSINESS MODEL06 LINK 2016-07

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