産総研LINK No7
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の橋渡しもしやすくなっています。今“橋渡し”と言いましたが、本当はむしろ、できたものを企業に渡すより、産総研自身が、企業とともに一緒に橋をつくっていくことが大切だと思っています。――橋を一緒につくるということについて、もう少しお聞かせください。山田 産総研は、現在もっているシーズの情報を発信 し、企業と一緒にものづくりに取り組んでいこうと、イノベーションコーディネータ*が企業をまわって連携の道筋をつけています。しかし、すでにあるシーズの橋渡しだけで大きな展開が生まれるようなケースは、それほど多くはないでしょう。私は、新たなモノは共創から生まれると考えています。 産総研と企業が共創していくための第一歩は、まず企業の方に産総研を知っていただくこと。そのため技術シーズを集めたフェアの開催など、知っていただく仕掛けづくりを行っています。産総研は宝の山ですが、外から眺めているだけではその宝をなかなか見つけられないので、さらにいろいろなフェーズで身近に感じてもらう工夫をする必要があると思います。未来図を描き、企業とともに橋を渡していく◎人工光合成、熱発電チューブなど、チャレンジし続けるリーダー 山田さんは、パナソニックのR&D本部先端技術研究所エコマテリアルグループ(現・先端研究本部)で、新規事業に向けた基礎的な研究開発に従事していた。 2006年にはグループマネージャーに就任し、若手のチャレンジングな研究を後押しする立場に。2009年からは「人工光合成」の研究をスタートさせ、2012年、窒化物半導体の光電極を用いた光合成システムの開発により、植物並のエネルギー変換効率0.2 %という世界最高性能(当時)を達成した。 翌2013年には、この技術を応用して、都市ガスの成分であるメタンの生成に成功。太陽光を使って二酸化炭素を削減しながらエネルギーを生み出すという、夢の技術の実現に一歩近づいた。 また、工場やごみ焼却施設の排熱を利用した「熱発電チューブ」の開発にも携わり、この技術で第26回「独創性を拓く先端技術大賞」(日本工業新聞社『フジサンケイ ビジネスアイ』主催)の特別賞を受賞した。お湯を流すだけで発電できる配管は、ごみ焼却施設での実証実験も進め、実用化に向けて取り組んでいるところである。 リーダーとして次々と新たな仕掛けを打ち出した山田さんは、2013年12月に「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2014」(日経BP社『日経WOMAN』主催)のリーダー部門に選出されるなど、大きな注目を集めている。産総研で活躍する企業人材*- 産総研の役職の一つ。民間企業でのビジネス経験や産総研での研究活動などの経験を生かして、事業化の視点から産総研のシーズと企業のニーズを結びつけ、骨太な共同研究・事業開発を提案する役割を担っている。11 2016-07 LINK

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