産総研LINK No7
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術のうちどれが使えるのか、非常にわかりにくいです。そこで、ラインナップしてパッケージ化し、一つのソリューションとして提示するというプロジェクトの立ち上げを支援しました。このような取り組みにより、産総研の強みである総合力を、より生かせるのではないかと思います。 一方で、研究者自身はある目的をもって技術開発をしていますが、第三者の視点で見ると、その技術はほかの用途にも使えるということに気付くことがあります。本来の目的以外でも、開発した技術が社会で使われる可能性が大きくなるという気付きを共有したとき、研究者の方の目が輝きます。これを見るのも、楽しみの一つです。――産総研に来る前後で、産総研の印象はどのように変わりましたか。山田 パナソニックでは本社の研究所にいましたが、社内であっても、事業部からは遠い存在だと思われていました。まして産総研は“国の”研究所で、社会からは、とても偉い先生方がいる組織に見えます。大げさに言えば、「産総研には、家電開発で必要な改良技術のような相談などできない」という感覚さえあります。パナソニックの研究所移転とともに私が関西に異動してからは、共同研究の経験がある私でさえ、産総研に距離を感じるようになったのです。 しかし中に入ってみると、多くの研究者と同じ目線で語り合うことができるようになりました。ですから、産総研の研究者は、社会から“雲の上”の存在のように見られていると自覚し、意識的に企業人と同じ目線に立ってほしいと思います。実際に研究者の顔が見えてくれば、距離は近くなります。さらに産総研の中に身近な顔ができれば、企業も産総研に足を運びやすくなるので、一人一人の研究者の顔が見える組織になるとよいと思います。――産総研の強みはどのような点だと思いますか。山田 産総研の強みは多様な技術シーズ、総合力だと言われますが、私は、最大の資産は研究者そのものだと思います。現代は企業であっても、商品だけではなく未来構想を売り物にする時代です。日本の産業界は今、これからのものづくりの方向性を見通すことができずに閉塞感が漂っていますが、この中で産総研の研究者は、将来の可能性を見せて導いてくれることができる存在だと思っています。そういった研究者自身を、産総研のセールスポイントとして示していく工夫があってもよいのではないでしょうか。――産総研に期待することは。山田 先ほど「研究者の顔が見える組織に」と言いましたが、研究者の顔が見えるようになると、「この人に相談したらこんなことができるようになるかもしれない」と、未来を一緒につくれるという期待がもてるようになります。現在の日本の閉塞感を打ち破り、元気をくれる研究所、未来への期待をもたせてくれる研究所というのが産総研に求める姿です。 私は産総研に入ったからこそ見えたことがあり、企業と研究者の顔が見えれば産総研は身近になるAIST PERSONNEL FROM CORPORATIONS▲産総研の技術を外にわかりやすく見せるため、イノベーション推進本部内で議論し、研究者への支援のあり方を検討している。10 LINK 2016-07

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