産総研LINK No.26
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ニア濃度は5 ppmvをほぼ常に下回っていたのです。 豚舎だけではなく、湿度100%の堆肥化施設でも、このフィルターが排出ガスからアンモニアを除去できるかどうかの実験を行いました。堆肥化施設の排出ガスのアンモニア濃度は非常に高く、100 ppmv以上にも達します。さすがにフィルター1枚では難しいと考え、何枚使えばアンモニア除去が可能なのか調べることにしました。 その結果、フィルター1枚で100 ppmvが40 ppmvに下がり、2枚では10 ppmvに、そして3枚使うと、ほとんど検出されないところまでアンモニア濃度を下げることができました。川本 これまでの吸着システムには、ここまでコンパクトなサイズで、これほどの性能のものはなかったと思います。回収した臭い(アンモニア)を再生川本 現在、自治体や日本養豚協会、福島県の農業普及所など、多くの機関の協力を得て、悪臭の脱臭だけではなく、悪臭が減ることで豚の育成効率がどう変わるか、ということについての実証実験などを行っています。 プルシアンブルー粒状吸着材は、まだ市販する段階までは至っていませんが、すでにサンプル提供は始めています。10月以降はさらなる普及に向けて、使用マニュアルなども整備していく予定です。髙橋 その他の用途としては、トイレやスポーツジム、医療機関や介護施設などで活用することを想定していますし、最近では発酵食品のアンモニア臭の除去など食品業界からの注目も集まっています。 さらに、博物館の内部や半導体工場など、腐蝕の原因となる低濃度のアンモニアを除去したいというニーズにも、この技術を活かせると考えています。半導体製造の現場では0.0001 ppmvというごくわずかなアンモニアがあっても、製造プロセスに影響が出るといわれています。そこまで低濃度だと鼻では判別できませんが、こうした場面にも私たちの技術は対応できるでしょう。川本 さらに、回収したアンモニアをどう有効活用するかについても検討を始めています。例えば、この吸着材で下水からアンモニアを回収し、肥料として役立てることはできないか。下水道中のアンモニア濃度は0.1%程度なので、肥料にするには100倍程度に濃縮する必要がありますが、それができれば、乾燥させて肥料の材料にすることも可能になります。濃縮は私たちの技術の得意なところでもあり、私たちはいわば、臭いを資源へと再生する技術を開発しているということができます。 不要になった電子機器から希少鉱物を回収する「都市鉱山」という考え方がありますが、私たちは鉱物ではなく、大気中や水中に含まれる臭いを回収して、資源化しようとしているわけです。「臭いを資源に」というのは、非常に新しい概念ではないでしょうか。髙橋 このアンモニア吸着材は今、実用レベルに達しつつありますが、これはまだまだ始まりにすぎません。プルシアンブルーは、アンモニア以外のガスについても選択的に吸着できる構造へと設計することができますので、「こんなことできる?」という要望がありましたら、ぜひご相談いただければと思います。川本 私たちの知らないニーズは、まだまだたくさんあると思います。アンモニアでも別のガスでも、ぜひ皆さんがお困りのニーズをお聞かせいただければ嬉しいです。お役に立てると思いますので、皆さんからのご連絡をお待ちしています。 臭いを資源に再生する アンモニアはもちろん、除去したいガスに応じて設計します。ぜひ一度ご相談を!産総研 材料・化学領域ナノ材料研究部門〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1 つくば中央第5nmri-info-ml@aist.go.jp https://unit.aist.go.jp/nmri/「簡単に再生できる粒状吸着材で豚舎や堆肥化施設の空気をキレイに」も御覧ください。産総研チャンネル技術を社会へつなげるコミュニケーション・マガジン7

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