産総研LINK No.26
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体とバインダー(接着材)を混ぜて練り、粒状に成形することにしました。もちろん、粒状にしたことで吸着性能が落ちてしまっては意味がないので、銅プルシアンブルーの粒子同士にうまく隙間ができるように固める作り方練り方を、関東化学の方々に検討していただきました。川本 できた吸着材は、直径5 mmほどの茶色い粒です。脱臭性能が落ちていないか評価したところ、粒状にしても、粉体の吸着量の7〜8割以上の量のアンモニアを吸着できることがわかりました。吸着性能はしっかり保たれていたので、これならいけると嬉しかったですね。髙橋 薄い酸を用いて30回以上再生しても壊れないことも確認できました。30回というのは実験期間が30日だったからで、実際にはそれ以上の使用に耐える強度があるということがわかっています。 とはいえ、いかに効率よく再生させるかという方法を探すのには苦労しました。再生できることはわかっていましたが、ラボで少量の粉を洗うのと違って、実際に豚舎や堆肥化施設で使うのは10キログラム以上の量となります。ラボと同じやり方ではなかなか吸収したアンモニアを脱離できないので、水を循環させる自動洗浄装置なども新たに開発しました。川本 洗浄に使う酸にしても、何を使ってもよいわけではありません。酸によって排水に流してよい濃度の基準がありますし、装置が傷みやすくなる可能性もあります。もちろん酸の価格も無視できません。また、豚舎で大量に水を使ってしまうとコストも上がってしまいますし、環境面でもよくありません。再生に必要な水量も考慮する必要がありました。畜産農家が負担できるコストは豚1頭当たり何円までなのか、その点も計算して目安を立て、その中でハードとソフトの両面で試行錯誤を繰り返しました。髙橋 実用化するとなると、法的なことも含めて制限がとても多いことを改めて実感しました。その中でいかに効率のよいものをつくれるか。それに挑戦することは、大変ですが実用化に近い成果を実感できるため、楽しいことでもありますね。川本 豚舎に設置する吸着装置はシンプルな構造です。穴あき板で通気口を設けた縦60 cm×横50 cm×厚さ5 cmのステンレス製ケースにこの粒状吸着材を入れて「アンモニア吸着フィルター」をつくり、このフィルターをファンと組み合わせて吸着装置としました。今回はこのサイズで試しましたが、もちろん目的に応じたサイズのフィルターをつくることが可能です。髙橋 実験はそれぞれ40頭の豚を飼育中の2つの豚舎で行いました。2つの豚舎のうち一方に吸着装置を取り付け、吸着装置をつけない豚舎とのアンモニア濃度を比較する、という実験です。5日間実験を行った結果は、図のようになりました。吸着装置を使わなかった豚舎では最大で約30 ppmvという高いアンモニア濃度を示した一方、吸着装置をつけた方ではアンモ NEW TECHNOLOGY ■ 豚舎でのアンモニア吸着装置の概要とその試験結果新規アンモニア吸着材(銅プルシアンブルー粒状吸着材)アンモニア吸着装置アンモニア糞尿11/29010203012/0112/03豚舎内アンモニア濃度(ppmv)吸着装置有り吸着装置無しファン吸着フィルター6 2019-09産総研

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