産総研LINK No.18
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り組むことも増えています。こういった取り組みは全国約500カ所、テーマも500以上に上ります。農研機構には地域農業研究センターが5カ所ありますが、中でも北海道農業研究センターは、農研機構の研究成果を現地に発信していくフロントラインの中心的な役目を担っています。食品産業については、研究開発機能をもつ大手メーカーとの共同研究を行うとともに、そういった機能をもたない中小メーカーともニーズに沿った研究を進めています。中鉢 産総研は2001年に当時の15の国立研究所と計量教習所が統合されて、現在の産業技術総合研究所となりました。グリーンテクノロジー、ライフテクノロジー、インフォメーションテクノロジーを中心に、産業技術を開発し、企業に橋渡しすることを重要なミッションの一つとしています。産総研といえば鉱工業関連技術に取り組んでいるイメージが強いのか、ライフテクノロジー分野の認知度は低く、第一次産業を営む方々との接点はまだあまり多くありません。しかし、井邊理事長もおっしゃったように、最近は第一次産業でも、ICTやIoT、AIなど、これまで鉱工業やエレクトロニクスのコア技術だと思われていた技術のニーズが高まっており、新たな農工連携の機会が出始めているフェーズにあると思います。 農工連携ということでは、産総研の北海道センター内の植物工場でイヌの歯周病薬の材料となる遺伝子組み換えイチゴを栽培するなど、アグリテクノロジーの研究も進めています。今回のアグリテクノフェアは、第一次産業の盛んな北海道で、私たちにはどのような技術があり、どのようなソリューションを提供できるかを農研機構とともに示す、非常に意義のある機会だと考えています。井邊 私たちが異分野融合を進める背景には、農政の動きもあります。これまでの農業は補助金で支えられてきた面がかなりありますが、今は農業でも一般産業の視点が重視されるようになってきました。他の産業界との結びつきは、これからより重要になっていくでしょう。2017年12月に農研機構は日本農業法人協会と経団連との間で「農業技術革新連携フォーラム」を開催しましたが、このようなことを通じて一般産業、あるいは異分野との結びつきをより一層強めていく必要があると考えています。中鉢 産総研はバイオテクノロジーの研究も行っており、IoTやAIだけではなく、育苗や育種のところでもお手伝いできるのではないかと思います。—松岡 2008年11月に産総研と農研機構は、共同研究などによる研究開発や研究交流を促進する協定を締結し、連携を進めてきました。産学官の連携や国際競争力の向上という点ではどのような取り組みをしているのでしょうか。井邊 独立行政法人になって以来、農研機構は研究開発成果の社会実装の強化に取り組んできました。しかし、人員や予算などの研究資源が限られている中で、すべてを自前でやっていくことには限界があるため、他機関とそれぞれ得意な分野をもち寄って共同研究をすることが原則になっています。連携はある意味で農研機構のモットーにもなっているのです。 シーズについては大学や理研といった基礎研究を行う機関と組んで橋渡しし、私たちの成果をどのように社会実装していくかという面では、さまざまな民間企業や生産者と連携していくことが考えられます。産総研と私たちの立場は共通するところがありますので、お互いの経験を生かしながら一緒に進めていきたいと考えています。 特に農業は、これからは規模を拡大する中で生産コストを下げ、国際競争力を高めていく必要があります。そのためには先ほども申し上げましたが、ロボット技術やIoT、AIなどが不可欠でしょう。 また、日本の農産物はSpecial interview先端技術の社会実装には連携が不可欠04 LINK 2018-04

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