産総研LINK No.17
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 この方法は、樹脂系の繊維であれば種類を問わず接着できる。それに、布は2枚であっても数百枚であっても一度に接着が可能だ。加圧の力加減を変えれば空気の含有量も変わるため、少し柔らかい風合いの残るもの、カチカチに固まったものなど、異なる素材がつくれることもわかった。 「何かを挟んで層に機能をもたせることも、層の中に粉を入れることも可能でした。目の粗さを段階的に変えたシートを重ねて接着すれば目に勾配のついた長寿命なフィルターを作れます。導電性のシートを挟めば電子デバイスに応用できますし、薬剤を封入すれば医薬品に、酵素や触媒を付着させれば、脱臭や反応用のカートリッジとしても使えると考えられます。貫通孔が開いているので蒸れない素材として医療、スポーツ用途にも応用可能です」 相澤が描く具体的な応用イメージの一つに、肌を通じて薬剤を体内に吸収させる医療用の経皮吸収パッチがある。喘息の薬を染み込ませたパッチや禁煙用のニコチンパッチなどがあるが、使用する薬剤の量を、重ねる不織布の枚数でコントロールできるので、患者さん一人一人に合わせたきめ細かい薬剤投与の対応が可能になると考えられる。 「接着に薬品を一切使わないこともポイントです。建材や医療用ギプス・スポーツ用プロテクターなど、密閉空間や身体に直接触れるものに使用しても安全ですので、化学物質過敏症の方でも安心して使っていただけるものになると思います」 プレスするだけという成型のしやすさや、多孔体ならではの通気性の良さも、応用するにあたってメリットとなる。 相澤には「シンプルな技術ほど使われる」という信念がある。シンプルな装置、簡便なプロセスで装置コストはかからないし、必要なのは安価な二酸化炭素のみで、加熱もしないので省エネ性が高くランニングコストも低い、室温で数秒でできてしまう生産性の高さ、これらがこの技術の売りなのだ。シンプルな技術である分、生産ラインへの導入のハードルは低い。今は空気の含有量を変えた材料の作成や、樹脂の繊維の太さを変えるなど、さまざまな実験をしているほか、接着強度や突き刺し強度の検証など多様な物性解析も進めている。 さらに企業へのサンプル配布もスタートさせ、実用化に向けた共同研究先の開拓を始めたところだ。 現在は、産総研にある卓上サイズの装置で作成可能な小型サンプルの検証実験をしている。しかし、実際は完成品のサイズに合わせた金型をつくれば、どのようなサイズでもつくれるため、樹脂多孔体の応用先はさらに広がるだろう。 「この新しい材料製造技術の可能性は企業の皆様に使っていただくことで広がっていきます。国の研究機関が生み出した技術なので、私はこの技術を、ぜひ日本の企業に実用化してほしいと願っています。もし興味をお持ちいただけたら、すぐにご連絡ください。いつでも説明いたしますし、呼んでいただければ私がお伺いします」と相澤は笑顔で結んだ。: 022-237-5211医薬、食品から建材、スポーツ用品まで幅広い応用に期待信念を形に!シンプルな技術ほど使われる〒983-8551 宮城県仙台市宮城野区苦竹4-2-1産総研 東北センター 化学プロセス研究部門: www.aist.go.jp/tohoku/お気軽にお問い合わせください!新発想の接着技術ウェブサイト関連動画11 2018-03 LINK

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