産総研LINK No12
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に私たちの研究の多くは、長い時間と地道な努力を必要としますし、売上や利益には直接結び付かない研究もあります。しかし、そうであるからと言って、研究の進捗や成果を適切に評価できない訳ではありません。研究のもつ社会的・産業的な意義に応じて、適切な評価方法を考えなければならないと思います。 例えば、先に述べたICが担当する技術の橋渡しは、企業で言えばマーケティングや営業に近い性格の業務ですので、KPIの設定が可能です。実際、研究領域ごとに橋渡しの目標値を設定して活動を推進しています。中鉢 産総研は、公的研究機関の中でも、もっとも産業界に近く、その研究成果は、社会的な還元が期待されています。ですから、社会・産業からの期待をKPIとして活動評価の中に取り入れることは、産総研の役割からして自然なことだと思います。中鉢 中長期計画のもう一つの柱が人材育成です。研究機関として一流の研究人材が不可欠であることは言うまでもありません。そのためには、優秀な研究者を自前で育てることだけでなく他機関・大学との人材交流を通じて育成を図ることが必要です。 産総研はクロスアポイントメント制度を設け、研究者が複数の研究機関と雇用契約を結ぶことを可能にし、優れた研究人材の交流と育成を進めています。また、産総研リサーチアシスタント制度を創設し、意欲ある大学院生が研究活動を進めるための環境を有給で提供し、経済的基盤を支援する取り組みを行っています。 先に申しました連携や技術の橋渡しなど、新たな取り組みを進めるためには、研究とは別視点での人材育成も必要となります。産総研イノベーションスクールは、イノベーション創出に貢献できる研究者を育てるために、独自のカリキュラムを通して、若手研究者の視野拡大と意識改革を進めています。優れた研究人材を優れた産業人材に発展させるというイメージです。中鉢 国立研究機関として、また主要な地域に活動拠点をもつ法人として、産総研にとって地方への貢献は非常に重要なテーマです。 これまでも地方発で多くの技術が開発され、地元の企業により事業化されてきました。こうした技術をもとに新しい産業やサービスも生まれてきたわけですが、この流れをもっと太いものにしていく必要性があります。昨年度、産総研は石川県と福井県に産総研との連携窓口を開設しました。これは、これまで拠点のなかった日本海側での産業ニーズに対し、より丁寧に応えていこうとする取り組みです。を進める必要があると捉えています。中鉢 多くの外部組織と連携協定を結びました。まずは、それぞれのパートナーと情報共有を進め、人材交流や共同研究を促進することで、相互に信頼感を醸成することです。その相互信頼をベースに、共通の成果目標に向かって動き出す仕組みとロードマップを策定して行きます。 ICの拡充は、これまでの待ちの対応から研究成果の積極的な売り込みへの転換を図るものです。外部の人材を積極的に採用しているのも、このことの表れです。ICの活動はマーケティングであり、技術セールスです。したがってこの業務については、その成果を適切に評価するKPI(Key Performance Indicator)を設定し、進捗を把握していきたいと考えています。中鉢 産総研のような研究所は、これまで研究論文の発表数や引用数を成果測定の重要な指標としてきました。これらの指標が重要なことは言うまでもありませんが、産総研の活動がそれだけで評価できるかと言えば、そうではありません。技術の橋渡しなどの活動成果を計る評価指標も必要だと思います。 基礎・応用の研究を行う研究機関に定量的な目標や期限を設定することは、適当ではないという考え方もあります。確かSpecial InterviewRyoji Chubachi―DoとCheckを進めるために、何がキーとなるとお考えですか?―KPIはこれまでの産総研ではあまり聞かれなかった用語のように感じますが…。―民間企業に近い考え方ですね?―新しい取り組みを打ち出していく中で、人材上の課題はありませんか?―産総研は多くの地域センターも運営されていますが、地方の産業・経済にはどのように向き合われていますか?04 LINK 2017-04

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