産総研LINK No12
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持する一方で、私たちはその研究成果を産業界に提供し、社会に還元していかなければなりません。そのためには、いわゆる基礎研究や応用研究を充実させるだけでなく、目的、すなわち研究成果の出口を明確に定めた研究開発活動を行うことが重要になっています。 私たちは、これを産総研全体で進めていくとともに、他の研究機関や大学など、外部との連携を通じて加速させようとしています。 昨年度から新たに始めた取り組みとして、大学の構内に産総研の連携研究拠点を設置する「オープンイノベーションラボラトリ(OIL)」構想があります。これは、大学と産総研の強みを融合させたもので、基礎から応用研究、開発・実証を一気通貫に実施し、研究のスピードアップを図るという試みです。これまで7大学にOILを設置し、活動を開始しています。 企業との連携については、企業から提供された資金を基に産総研の構内にパートナー企業名を冠した連携研究室、通称「冠ラボ」、を設置することを進めています。産総研の優秀な研究者を投入することで、企業ニーズに応えた研究開発を効果的・効率的に推進することができます。また、パートナー企業には知的財産面での優遇措置も用意しています。これまでに6企業の「冠ラボ」を設置しました。OIL、冠ラボともに研究者個人や研究室レベルではなく、組織対組織、トップ同士によるコミットメントで連携を進めていこうという取り組みです。 外部との連携体制強化と並行して、内中鉢 昨年10月、産総研は特別措置法により、特定国立研究開発法人に指定されました。現在27ある国立研究開発法人の中で、特定に指定されたのは理化学研究所、物質材料研究機構と産総研の3法人だけです。この指定は産総研に対する国の強い期待の表れだと理解しており、これまで以上に日本の研究開発をリードし、産業と社会に貢献しなければならないとの思いを強くしています。 そのためには、日本のみならず、世界においても一流だと評価される研究開発水準を保持しなければなりません。ロイター社が毎年「世界で最もイノベーティブな研究機関」を発表していますが、本年、産総研は世界の名だたる研究機関と肩を並べ、第5位にランクされました。 また、これは別の調査機関の発表ですが、研究論文の引用数において、産総研は世界の大学・研究機関の中でも27番目に位置し、産総研の研究成果が学術的に高く評価され、活用されていることを示しています。このような高い評価を受けることは、他の研究機関や大学との交流、連携の呼び水となり、研究開発内容の充実、発展への好循環を生み出す重要な要素だと思います。中鉢 世界で競える研究開発水準を保部では企業への技術の橋渡しを担う専任部隊、イノベーションコーディネータ(IC)の大幅な拡充を図っています。単に増員するのではなく、企業、都道府県の公設試験研究機関などから有能な人材を募り、これまでの公的研究機関にはないマーケティング発想で、産業界へのアプローチを行っています。また、自然科学系の研究機関としては、おそらく初めての試みだと思うのですが、社会科学系の一橋大学とも連携協定を締結しました。これまでの産総研にはなかったネットワークで産業界との連携を広めようという取り組みで、将来の展開が楽しみです。中鉢 第4期中長期計画を開始してこの2年間、計画の具体化に向けて、先ほど申しましたOIL、冠ラボの設置、ICの拡充などさまざまな取り組みに着手してきました。パートナーとなっていただいた大学や企業からは産総研への強い期待を感じますし、私たちも連携相手から、新たな知見やノウハウを得て、研究を加速できると確信しています。今後も新たな取り組みを手掛けていく必要がありますが、その一方で、5年の計画の中間点にあたる今年度は、これまでに着手してきた事業について、結果を出して行かなければなりません。 PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルで言えば、これまでの2年間がPlan中心であったのに対し、2017年はDoとCheckTOP MESSAGE―昨年、産総研が特定国立研究開発法人に指定されましたが、どう受けとめられていますか?―さまざまな取り組みを進めてこられたのですね。手応えはいかがですか?―第4期中長期計画の中で目的基礎研究の強化と技術の橋渡しの推進を中心的テーマとして掲げてこられましたが、これまでの進捗についてお話しください。03 2017-04 LINK

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