産総研LINK No12
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キーポイントKEY POINT遺伝子のはたらきをコントロールする転写因子をまとめて制御する。1VP16法は、これまで不可能だった転写抑制因子のはたらきをとめる。2VP16法は、ゲノム編集を利用した育種を加速させる手段になる。3ました。これによって遺伝子や転写因子に関する研究は一気に進み始めました」 また、CRES-T法ができたことで、それまでの手法ではなかなか得られなかった、強い特性をもった植物の作成が可能になった。この技術は、耐塩性や低温耐性、乾燥耐性の高い植物など、すでにさまざまな植物の作出にも応用されている。 しかし、CRES-T法にも弱点がある。アクセルをブレーキにする技術なので、もともとブレーキとして機能する転写抑制因子には適用できない。そこで藤原が取り組んだのが、CRES-T法の逆バージョンの技術の利用だった。 藤原は「VP16法」という手法を植物に適用。転写抑制因子にVP16と呼ばれる活性化ドメイン(ポリペプチド)を付加することで、通常は何らかの遺伝子の発現を抑えている転写抑制因子のはたらきをまとめて抑えられることを示した。つまり、いくつもの転写抑制因子の変異体を何度も掛け合わせてようやく得られるような強い特徴をもつ植物を、VP16法で生み出せるのだ。VP16法の利用ですべての転写因子が制御可能に  研究に用いたシロイヌナズナには約300種類の転写抑制因子があるが、まず、各転写抑制因子にVP16法を適用した約300系統のシロイヌナズナを網羅的に作成して種切実な人類の課題を解決しうる無限の可能性▲転写抑制因子のはたらきをコントロールして乾燥耐性を獲得したシロイヌナズナ(右)は、通常のシロイヌナズナ(左)に比べて、乾燥環境でも茎がしっかり伸びている。ブレーキ遺伝子OFF通常の条件下では何らかの遺伝子の発現を抑えている転写抑制因子ON遺伝子転写抑制因子VP16ブレーキをアクセルとしてはたらかせる・多重機能欠損株と同様の形質・潜在的な遺伝子の活性化▲VP16を付加して転写抑制因子を転写活性化因子に転換した植物をつくる。全遺伝子の約10 %が転写因子をつくる遺伝子だとされ、その転写因子の約15 %が転写抑制因子だと考えられている。NEW TECHNOLOGY14 LINK 2017-04

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