産総研LINK No12
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すく、調理場はそれに近いのですが、飲食店では刻一刻とオーダーが変化するうえ、顧客、従業員、調理場、フロアとすべてがかかわり合うため、モデル化すること自体が容易ではありません。最終的には、調理場だけではなく接客フロアも含め、すべてをシミュレーションできるようにしたいと考えています。新村 これまで外食産業で生産性向上に取り組んできた企業はありますが、いずれも現場での加工プロセスを減らす方向での改善でした。当社は研究開発から取り組み、仕事の一部だけではなく、すべてのプロセスでの生産性向上を目指しています。 そこまでするのは、収益性を何%上げるというような、自社の短期的な目標達成のためだけではありません。先ほども言った通り、業界全体をよくしたいという思いからなのです。産業の質を決めるのは人材です。収益性を上げて外食産業によい人材が入ってくるようになれば、業界全体が盛り上がっていくでしょう。蔵田 そして、業界をよくするには、そのための技術や工学的アプローチがいるということですね。新村 そうです。技術を開発するには、まず実験台が必要でしょう。知財も、基盤的なものは産総研が押さえ、成果はサービス業界全体で使うべきだと考えています。 さらに言えば、自分が生きているうちに結果が出なくてもかまいません。現在、製造業で議論されていることが、――これまでの成果を、どのように評価していますか。新村 ある程度の生産性の改善につながったとはいえ、私のやりたいことはまだできていません。これまでしてきたことは、生産性を上げるための準備だったと思っています。 2006年から工学的アプローチにチャレンジしてきましたが、現場を把握し、感覚的なことを定量化する技術ができ、10年たって、それらがようやく使える技術、方法論になったところです。今、研究は第二ステージに入りました。労働力の投入量の制御などを積極的に進めることで、人件費に換算して10年前は10 %程度だった削減量を、25~30 %まで減らせると見込んでいます。新村 現在は銀座一丁目店の調理場の生産システムの向上に取り組んでいます。現状を把握し、調理場のレイアウトを変えることで、人間の労働量がどう変わるかをシミュレーションし、実際に現場に組み入れていく予定です。蔵田 例えば、物流倉庫をシミュレーションするのであれば、従業員、棚、在庫を見ればよいのでモデル化しやキーポイントKEY POINT外食産業に工学的アプローチを取り入れ生産性を向上。1SS(サービス・サイエンス)からSSMED(サービス・サイエンス、マネジメント、工学、デザイン)へ。2産総研との共同開発で業界全体を活性化していく。3BUSINESS MODEL新たな技術開発で外食産業全体を活性化させる10 LINK 2017-04

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