アニュアルレポート 2005-2006
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98Annual Report 05-06Metrology and Measurement Technology最近の研究から● ナノメートルの目盛りを持つ “高さのものさし” プローブ顕微鏡などを用いてナノメートル領域の三次元形状を正確に計測するには、一次元グレーティング(面方向の長さスケール)や段差標準試料(高さ方向のスケール)が長さの標準として供給されることが必要となります。現在一次元グレーティングは最小で50 nmのピッチの校正が行われています。高さ方向では、触針式段差校正(0.5〜10 µm)、光学式の段差校正(20〜300 nm)を行っていますが、長さの標準であるレーザ波長を標準とした原子間力顕微鏡(測長AFM)による校正サービス(10〜2500 nm)を新たに開始しました。その分解能は0.04 nmですが、校正を行う段差面の粗さは数nmあり、どのように定義するかによって与えられる値も異なるため、従来の規格(ISO 5436-1)を拡張することで表面の形状の影響を受けにくい校正法を開発しました。(計測標準研究部門)● ナノメートルの目盛りを持つ“厚さのものさし” ナノメートルオーダーの積層膜構造を用いた材料は多くの産業で使われています。材料の特性は膜厚の影響を大きく受けることから、厚さが決定された“ものさし”を用いて材料の厚さを正確に計測・管理することが非常に重要になります。“厚さのものさし”となる薄膜・多層膜標準物質をSIトレーサブルな膜厚計測法を用いて開発するために、国家角度標準と同様な方法で自己角度校正が可能なトレーサブルX線反射率測定装置の開発を行いました。その結果、GaAs/AlAs多層膜試料(6層構造、各層の膜厚~9.5 nm)の膜厚を一分子層厚さ(0.28 nm;GaAs層)以下の不確かさで決定することが可能となりました。また、極薄Si酸化膜試料においては標準物質のユーザが特殊な装置を必要とせずに認証された膜厚を適切に再現するために表面クリーニング法の検討を行いました。試料を大気中で400 ℃、30分加熱することで表面汚染のトレーサブルX線反射率測定装置● 熱設計に必要なすべての熱物性を1秒以内に測定ジェットエンジンなどの高温機器の熱設計を行うには構成材の熱伝導率、比熱、放射率、電気抵抗率を必要とします。現在、これら全ての熱物性値を測定するには膨大なコストを要することや、測定中に試料が長時間高温にさらされることで発生する試料汚染や装置劣化が問題となっています。そこで、金属や炭素材料の上記4種類の熱物性値を1台の装置で1秒以内に同時測定する「光通電ハイブリッド・パルス加熱法」を開発しました。この方法では、薄板状の試料に大電流パルスを流して0.2秒以内に試料を1,000 ℃以上の目標温度に到達させた後、即座に試料の片面に時間幅1 ms以下の光パルスを照射します。この加熱中に測定された試料温度とジュール熱の時間変化から、上記4種類の熱物性値を導出します。この方法によりモリブデンやタンタルについての熱物性測定光通電ハイブリッド・パルス加熱を用いた多重熱物性計測システムの概略Z[nm]-50-100-150500-50-100-4-2024Y[µm]Z[nm]X[µm]-200段差上面段差底面平行考案した段差値算出法平行な最小二乗平面を計算段差値=2平面間距離-40-60-80-100-120-140-160-180試料形状評価システム自己校正機能付きゴニオメータ最小二乗平面の当てはめによる段差の校正方法加熱制御 ・ 信号記録用コンピュータ電界効果トランジスタ標準抵抗大容量コンデンサ半導体レーザ放射温度計高速エリプソメータ試料電圧プローブ光検出器Ndガラス・レーザビーム・サンプラー影響を取り除き、測定精度と同等の再現性で膜厚計測できることを実証しました。(計測標準研究部門)を行い、2,000 ℃超の温度域においても妥当な結果が得られることを確認しました。(計測標準研究部門)

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