アニュアルレポート 2005-2006
17/110

highlighthighlight17Annual Report 05-06界面ナノアーキテクトニクス研究センター 清水 敏美有機ナノチューブの大量合成技術生体分子や化学物質などを対象とする分離分析に欠かせない中空シリンダー構造をもつ装置やデバイスの微小化が進んでいます。しかし、分析デバイスにおいて内径が1µm以下の中空シリンダー構造を直接、材料に微細加工するのは困難です。興味深いことに、10nm幅の中空シリンダー構造をコア部に有する有機ナノチューブが両親媒性分子の組織化(ボトムアップ技術)により合成できます(図A、B、C)。しかしながら、ナノチューブを分子組織化させるためには、これまでナノチューブ重量の1,000から10,000倍もの大量の水を必要とし、実験室レベルではナノチューブ1グラム以上の量産化は困難とされてきました。私たちは、食品として用いることのできる糖やペプチドといった低コストで安全な原材料を親水部および疎水部に用いた両親媒性分子を新たに設計、合成しました。さらに、自己集合用溶媒として水溶媒を用いる代わりに、食用にも使われるエタノールなどの安全な有機溶媒を用いることで従来の1,000分の1~10,000分の1という少ない溶媒使用量で中空繊維状の種々の有機ナノチューブからなる固体粉末を大量(1キログラム以上/ 2リットル)に合成する手法を開発しました(図D)。電子顕微鏡観察により白色固体粉末が、それぞれの分子構造に依存して決まる内径が40~200nm、外径が70~500nm、長さが数µmの有機ナノチューブから構成されていることを確認しました(図E)。この技術により合成された有機ナノチューブは、現在、「オーガニックナノチューブAIST®」として商標登録されています。 現在、0.6~0.9nmの内孔をもつ底の抜けたバケツ状の小分子シクロデキストリンが知られ、それを用いた種々の薬剤包接品が健康食品分野、化粧品分野、抗菌消臭品分野で数多く事業化されています。今回開発した有機ナノチューブは、シクロデキストリン分子では包接、安定化、徐放化が不可能な、例えば10~50nm程度の大きさをもつタンパク質・核酸・ウイルス・ナノ粒子などを対象にした新規な包接用有機ナノ素材として期待されます。付記:本研究は(独)科学技術振興機構との共同研究および委託研究による成果です。A両親媒性分子分子組織化B分子充填模式図の一例CDオーガニックナノチューブAIST®E電子顕微鏡写真300 nm固体二分子膜構造

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です