産総研:ニュース

お知らせ記事2001/11/15

ベンチャー支援室を発足

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という) は、11月15日付で産学官連携部門に「ベンチャー支援室」を発足させた。産総研は、産業科学技術を先導する機動的研究機関として、また、我が国最大の独立行政法人として、組織の自主性や開放性、信頼性などを最大限に活かし、保有する人材や技術シーズなどを適正かつ効率的に投入することによって達成される起業化への様々な取り組みに対する支援を組織的に展開することとした。

 これによって、円滑な実施体制の整備、取組み意欲の向上、新たな案件の発掘、研究環境の整備などの促進を図り、産総研のベンチャーへの取り組みが産業界への成果の普及、ひいては経済、産業の発展に資することを期待するものである。

背景 ・経緯

 公的研究機関である産総研にとって「技術を通じた社会への貢献」は大きなミッションであり、「技術指向型起業」の実現はミッション達成のための重要な道筋である。

 そのためには、産総研内外の人材及び技術シーズによる起業を積極的に支援し、独立行政法人として許された業務運営に関する自主性を最大限に活かし、可能なあらゆる方策を投入する。

  「ベンチャー支援室」では、研究者個人に対する相談窓口、組織的な企業化支援策の企画・調整、内外に対する情報発信、人的・組織的ネットワーク構築など、起業化に不可欠な多種多様な取組みを総合的、かつ、機動的に実施し、ベンチャー支援のための“ワンストップサービス”を提供する。

今後の支援方策

 産総研は研究員が研究開発によって得られた成果の技術移転を効果的に推進するために、特許等を活用して発明者自身が退職、兼業等により実施化を図ろうとするとき、または、職員自らがベンチャー企業を設立するときは、次のような組織的な支援策の実施を予定している。「ベンチャー支援室」の発足を機に、ベンチャー支援に関する各種取組みを加速化する。

[検討中の主な支援スキーム]
(1) 研究者に最大50%の権利譲渡、実施料の減額
(2) 施設設備の利用の優遇措置
   連絡事務所等として産総研の施設を利用できるようにする制度
(3) ベンチャー休職制度の導入
   一時的な休職を認め、一定期間ベンチャー業務に専念できる制度
(4) ベンチャー退職制度の導入
   ベンチャー業務に専念するために退職し、ベンチャー撤退などの場合に復職することができる制度
(5) ベンチャー任用制度の導入
   ベンチャー起業化につながる技術や資質を兼ね備えている者を採用する制度
(6) 法務的な相談や専門的な研修の創設

※ 研究成果活用企業等に兼業することは、人事院規則によって、人事院の承認を得ることで許可される。独立行政法人としての組織の自主性等を活かした新たな支援策として各種のベンチャー支援スキームの導入を検討しているところである。