English

 

第17回産総研サイエンスカフェ

「虹色の炭 カーボンナノチューブ ~小さな小さな筒に詰められた大きな夢~」


写真1
写真2
カーボンナノチューブカイラルマップ

 9月4日(金)、第17回産総研サイエンスカフェ「虹色の炭カーボンナノチューブ ~小さな小さな筒に詰められた大きな夢~」をつくばカピオ別棟 カフェベルガ(つくば市)にて開催しました。今回のサイエンスカフェは40名を越える方々にお申し込み頂いたため抽選を行い、30名の方にご案内を差し上げました。

 話題提供者は、ナノテクノロジー研究部門 自己組織エレクトロニクスグループの片浦弘道研究グループ長です。

 「カーボンナノチューブって耳にしたことはあるけれど、一体どんな構造をしているんだろう?どんな可能性を秘めているんだろう?」このような、日本生まれのカーボンナノチューブに迫る今回のサイエンスカフェは、3部構成で進みました。

 第一部ではナノチューブの基礎について紹介しました。

 単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の直径は約1.35nm(ナノメートル)。1nmは100万分の1mmなので、いかに小さいかが想像できます。ちなみに1本で1gのナノチューブの長さは、地球から太陽まで(1.5億km)に相当するとのことです。

 このSWCNTの作り方を大きく2つにわけて紹介しました。

 今までは炭素を電気やレーザーで蒸発させる作り方が主でした。しかし最近では炭化水素を分解して炭素にするCVD法が用いられています。そのCVD法の中でも基板を触媒とするスーパーグロース法では、わずかな水を加えることで触媒を活性化し、より多くのSWCNTを作ることを可能にしました。実際、テニスラケットや自転車などスポーツ用品にはSWCNTが使われている物もあります。

  第2部では、SWCNTの金属型と半導体型って何なのか?またタイトルにもなっている虹色の謎を紹介しました。

 ナノチューブにおいて最も重要な指標であるカイラル指数。実はこのカイラル指数の差が3の倍数かどうかが、金属型か半導体型の分かれ道になります。参加者の皆さんに分かりやすく紹介するため、1人1枚ずつOHPシートに印刷されたカイラルマップを用意しました。このシートの丸め方によって、金属型と半導体型になるという実演では皆さん熱心にテーブルスタッフに質問を投げかけていました。

  ところで、人間の色覚細胞の光の3原色は赤・緑・青ということをご存知ですか。

 現在、金属型のSWCNTはこの3原色がそろったので、全ての色が再現可能になっています。しかし、SWCNTは普通黒色をしています。とても不思議な現象ですが、実はこれは色々なカイラル指数を持つSWCNTが同時に出来てしまうため、様々な色が混ざって黒くなってしまうからなのです。

  この色を分離する方法として簡単・安価・高収率な方法が発見されました。それはアガロース電気泳動です。難しいように聞こえますが、実はアガロースとはところてんの主成分のことです。アガロースにSWCNTを注入し凍結させ、その後解凍して手で絞り出すと分離が可能になります。この方法では特別な装置が不要なため、大量分離が可能になっています。

  第3部ではSWCNTの中に何か詰めてみたい!そして応用へを紹介しました。

 「筒があったら何かを詰めてみたいと思うのが人間の心情」と片浦研究グループ長はおっしゃっていましたが、詰め込み作業をするのは意外に簡単とのこと。例えばニンジンに含まれるβカロテンやトマトに代表されるリコピンは非常に壊れやすい物質ですが、SWCNTに入れれば壊れにくくなります。また、SWCNTは水をはじく性質のため、SWCNTの中に水を入れて冷やすと新しい形の氷を作れます。また、囲まれることによって中の水の沸点も普通の水と異なり50℃くらいで中の水が噴き出します。これを参考にナノチューブの色の違いを利用し、噴き出すSWCNTを制御すると超微細インクジェットが可能になるのです。

  今後、さらに応用化が期待されているものとしては、超極小サイズのトランジスタや超集積回路です。これにはSWCNTの金属・半導体の分離技術が必須ですが、SWCNT応用の最大の課題だった金属型と半導体型の分離が実現した今、実用化が少しずつ現実味を帯びてきました。近い将来SWCNTを使った電子機器が市場に出てくるかもしれません。また、もしかしたら、最近新聞で取り上げられることもあるスペースエレベーターの実現も不可能ではないかもしれません。

 当日はサイエンスカフェ終了後も多くの方がテーブルに残り、熱心に質問を投げかける姿が見られ、皆さんの関心の高さが伺えました。

 次回は11月2日(月)にプライバシ保護と利便性についての話題をお送りする予定です。ご興味のある方はぜひお申し込み下さい。

写真3 写真4

開催概要
日時 2009年9月4日 金曜日 18時30分 ~ 20時00分
(終了後、30分程度フリーで話題提供者とお話いただく時間をご用意しています。)
会場 カフェ・ベルガ
〒305-0032 つくば市竹園1-10-1(つくばカピオ別棟)
※駐車場は、周辺の有料駐車場をご利用ください。
主催 産業技術総合研究所
定員 30名
参加費 無料(ドリンク・軽食付き)
申込方法 参加申込につきましては、お申込フォーム、Eメール、FAX、電話でお願い致します。

[1]サイエンスカフェ専用お申し込みフォーム

[2]Eメール:必要事項を記入の上、事務局宛に送信
 必要事項・・・お名前(ふりがな)、参加人数、連絡先

[3]FAX:参加申込書に記入の上、事務局宛にFAX
 FAX用参加申込書[ PDF:9KB ]

[4]電話:必要事項をお伝えください
 必要事項・・・お名前、参加人数、連絡先

※ご登録いただいた個人情報を本イベントの対応以外に使用することはありません。
問い合わせ先 産業技術総合研究所 広報部 産総研サイエンスカフェ事務局
〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2 つくば本部・情報技術共同研究棟8F
電話:029-862-6211 FAX:029-862-6212
Eメール:メールアドレス:s.cafe-ml*aist.go.jp(*を@に変更してご使用ください)
※当日撮影した写真等を産総研の広報活動に使用させて頂く場合がございますのであらかじめご了承下さい。
※ラヂオつくばの番組制作に協力するため、録音させて頂く場合がございます。
※一般の方が対象ですが、お子様のご参加はご遠慮頂いておりますのでご了承下さい。

▲ ページトップへ

国立研究開発法人産業技術総合研究所