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第15回産総研サイエンスカフェ

「共に生きることの本質とは? ~内部共生からみた生き物の多様性と進化~」

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 4月17日(金)、第15回産総研サイエンスカフェ「共に生きることの本質とは?~内部共生から見た生き物の多様性と進化~」を、つくばカピオ別棟 カフェ・ベルガ(つくば市)にて開催し、30名の方にご参加頂きました。

 話題提供は、生物機能工学研究部門 生物共生相互作用研究グループの深津武馬研究グループ長です。

 今回のテーマは私たち生き物の体内に住む、共生微生物です。

 会場にはそれぞれのテーブルに実体顕微鏡と数種類の虫の現物が用意され、実際に観察して頂きました。

 彼らの驚くべき能力とは?そもそも体内に特別な微生物がいるのはなぜなのか?スクリーンに写真やムービーが次々と映し出される中で、サイエンスカフェは進みました。

 内部共生とは、ある生物の体内に他の生物が取りこまれ、永続的もしくは半永続的に共生している状態のことです。多くの場合、共生微生物と宿主は一体化してひとつの生物のようになってしまい、いわば“究極の共生”関係と言えます。

 内部共生には、消化共生、栄養共生、防衛共生、発光共生など様々な形態があります。

 例えば、シロアリは普通の動物には消化困難な木材を共生微生物のおかげで、食物と出来ます。有毒昆虫のアリガタハネカクシが出す毒は、実は共生細菌の産物です。つまり、体内に共生微生物がいて、初めて自然界で生きていける昆虫がたくさんいるのです。

 休憩を挟み、後半では話題提供者のグループ(生物共生相互作用研究グループ)で行われている研究をいくつかご紹介しました。

 例えば沖縄本島や種子島にいるキチョウの中には、子孫が全てメスになる個体があります。実はこれも共生細菌の仕業です。ボルバキアという共生細菌がメスの形態や性質の発現にかかわるしくみを操作することにより、このような現象が起きると考えられています。では、そもそもなぜ全てメスになるのでしょうか。話題提供者曰く、「共生微生物の気持ちになってみればわかる。」とのこと。共生微生物は、母子間で引き継がれるため、共生微生物が子孫を残すためにはメスに共生しなければならないからなのだそうです。

 また、内部共生とは異なりますが、生物共生相互作用研究グループの最新の研究成果である、兵隊アブラムシのゴール(虫こぶ)修復行動も、ムービーを交えながらご紹介しました。モンゼンイスアブラムシにとって生存に不可欠な巣とも言える虫こぶに穴を開けると、多くの兵隊幼虫が穴の周囲で自己犠牲的に大量の白色の体液を放出します。体サイズが1/3ほどに縮んだ自己犠牲兵隊は、脚で自分の体液をこねながら引きのばし、虫こぶの傷口に塗り付けます。多数の兵隊が次から次へと自己犠牲的に体液を放出することによって、直径1~2mmほどの穴なら、1時間以内に完全に塞がれてしまいます。現在では研究が進み、兵隊幼虫が放出する体液は虫こぶの穴を迅速に、しかし一時的に塞ぐ“かさぶた”の役目をしており、その後に植物組織である虫こぶ壁の再生が起こることが分かっています。

 話題提供者のグループでは、昆虫類におけるさまざまな内部共生現象をターゲットにし、高度な生物間相互作用をともなうおもしろい独自の生物現象について、分子レベルから生態レベル、進化レベルまで徹底的に解明し、理解することを目標に研究が進んでいます。しかしこれらの分野は、まだまだ未開拓な部分も多く、今後も新たな発見が期待されています。

 当日は話題提供の最中にも質問が多く挙がっただけでなく、終了時間が過ぎた後も深津さんやテーブル担当の方へ質問が相次ぎ、参加者皆さんの関心の高さが伺えました。

生物機能工学研究部門 プレスリリース
(モンゼンイスアブラムシ兵隊幼虫など、ムービーが見られます)
昆虫による植物組織の修復・再生現象の発見 -植物の傷を自己犠牲的に自分の体液で塞ぎ、口針で癒す兵隊アブラムシ-
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090225/pr20090225.html
[ムービー:自爆して自らの体液で巣を修復するモンゼンイスアブラムシ兵隊幼虫 (WMP file, 12 Mb)]
[ムービー:兵隊アブラムシが誘導する植物組織の治癒過程 (PPT file, 1.5 Mb)]

 次回は6月19日(金)に「手と目で感じる立体模型~空間を味わい、形を造る~」をテーマに開催致します。ご興味のある方は、ぜひお越し下さい!

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開催概要
日時 2009年4月17日 金曜日 18時30分 ~ 20時00分
(終了後、30分程度フリーで話題提供者とお話いただく時間をご用意しています。)
会場 カフェ・ベルガ
〒305-0032 つくば市竹園 1-10-1(つくばカピオ別棟)
※駐車場は、周辺の有料駐車場をご利用ください。
主催 産業技術総合研究所
定員 30名
参加費 無料(ドリンク・軽食付き)
申込方法 参加申込につきましては、お申込フォーム、Eメール、FAX、電話でお願い致します。

[1]サイエンスカフェ専用お申し込みフォーム

[2]Eメール:必要事項を記入の上、事務局宛に送信
 必要事項・・・お名前(ふりがな)、参加人数、連絡先

[3]FAX:参加申込書に記入の上、事務局宛にFAX
 FAX用参加申込書[ PDF:15KB ]

[4]電話:必要事項をお伝えください
 必要事項・・・お名前、参加人数、連絡先

※ご登録いただいた個人情報を本イベントの対応以外に使用することはありません。
問い合わせ先 産業技術総合研究所 広報部 産総研サイエンスカフェ事務局
〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2 つくば本部・情報技術共同研究棟8F
電話:029-862-6211 FAX:029-862-6212
Eメール:メールアドレス:s.cafe-ml*aist.go.jp(*を@に変更してご使用ください)
※当日撮影した写真等を産総研の広報活動に使用させて頂く場合がございます。その他の目的に使用することはございません。あらかじめご了承ください。

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