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産総研:産総研サイエンスカフェ in 東広島(第2回)

「分子を並べる ~七色に輝くセルロース液晶を作る~」

遠藤 貴士 研究チーム長

 平成26年11月21日(金)、サンスクエア東広島(広島県東広島市)にて第2回産総研サイエンスカフェin東広島「分子を並べる~七色に輝くセルロース液晶を作る~」を開催しました。話題提供者は、バイオマスリファイナリー研究センター セルロース利用チーム 遠藤 貴士 研究チーム長です。今年1月に行った第1回産総研サイエンスカフェin東広島に引き続き、東広島市との共催で開催しました。

 産総研中国センターでは、木質系バイオマス(木質資源)から、化学品原料、高性能複合材料、液体燃料を製造する研究を行っています。今回のカフェでは、木材の主要成分であるセルロースを用いた複合材料の開発について紹介し、さらに分子が規則正しく並びやすいというセルロースの特徴を活かした不思議実験を参加者の皆さんにやっていただきました。

 “セルロース”と聞くとあまり馴染みがないと感じる方も多いかと思いますが、実は我々の身の回りでは、様々な製品にセルロースが使われています。遠藤さんは冒頭で、ワタの約95%がセルロースでできていることや、食品や医薬品にもセルロースが含まれていること、セルロースを原料としたプラスチック(セルロイド、アセテート)が発明されてきたこと等、沢山の応用例を紹介しました。

 続いて、遠藤さんの研究内容に話題が移りました。遠藤さんは、セルロースから複合材料を作るための基盤技術開発に携わっていて、その中でも特に重要なものが、セルロースナノファイバーというナノ繊維なのだそうです。セルロースナノファイバーは、植物繊維をナノサイズまでほぐすことによって得られるナノ繊維で、鋼鉄の1/5の軽さで5倍の強度をもち、熱による変形が小さいという特徴をもっています。そして原料は植物なので安心・安全、さらに再生可能な資源で環境への負荷が少ないのです。このような高強度、高耐久性、軽量、易リサイクル性を活かして、日用品や家電製品、自動車部品への応用が期待されています。今回のカフェではうちわ骨のプラスチック部分に建材などに用いることができない未利用材ヒノキの木粉をプラスチックに複合化した、環境配慮型のうちわ(試作品)をお配りしました。遠藤さんは、「セルロース系バイオマスは地球上で最も豊富な再生型資源。これらを無駄なく使って持続的な社会を実現したい。」と、バイオマス研究の未来について熱く語りました。

 カフェの後半は、セルロースの不思議を体験できる実験です。

 まず始めに、実験のウォーミングアップです。参加者にプラスチック製の透明なスプーン、フォーク、フィルムをお配りし、それらを2枚の偏光板ではさんで観察してもらいました。すると、スプーンやフォークが七色に見え、フィルムは引っ張って伸ばす前と後では色が変わって見えました。偏光版ではさんだ時に見える色は、プラスチック中の分子の並び方に左右されるため、スプーンやフォークの色は製造工程での溶けたプラスチックの流れを表し、フィルムは引っ張ることで分子の並びが変化し、色が変わります。参加者の皆さんは、透明なプラスチックに現れる鮮やかな色を熱心に観察していました。

 次はいよいよ、今回の主役であるセルロースを使って、七色に輝くセルロース液晶を作る実験です。参加者にはケースに入ったヒドロキシプロピルセルロース(固体)と水が配られました。ヒドロキシプロピルセルロースと水を混ぜ合わせると、ヒドロキシプロピルセルロースの分子の並び方が変化して、ある微細構造をとり、それによって色が付いているように見える(構造色)と遠藤さんは説明しました。ちなみに、ヒドロキシプロピルセルロースの変化する色(紫色~赤色)は混ぜた水の量によって決まるそうですが、発色するまでにおよそ1週間の時間がかかることから、参加者の皆さんには各々セルロースを持ち帰っていただき、ご自宅で変化を確認していただくこととなりました。

 最後に遠藤さんは、「今回、セルロースの複合材料や色の変化等を紹介しましたが、これはセルロースの特徴のほんの一部です。セルロースはとても身近な物質なので、今回のカフェをきっかけに、セルロースに興味をもってくれれば嬉しいです。」と参加者に語り、カフェを締めくくりました。

 これからも、産総研中国センターではサイエンスカフェを定期的に開催していきます。皆さんのご参加をお待ちしています!

写真1
クイズを交えながら、遠藤さんはカフェを進めました
写真2
偏光版による、光の遮断と通過を確かめました
写真3
偏光版を使って、プラスチック製品を観察しました
写真4
一人一個ずつ、セルロース液晶を作成しました


サイエンスカフェの様子

開催概要
日時 2014年11月21日 金曜日 18時00分 ~ 19時30分
会場 サンスクエア東広島 2階 研修室2
〒739-0043 広島県東広島市西条西本町28-6
主催 産業技術総合研究所 中国センター
共催 東広島市
定員 30名 ※要予約
対象 一般の方(高校生以上)
参加費 無料
申込方法 オンライン登録、FAX
申込締切 11月18日 火曜日 17時00分  ※申込を締め切らせていただきました。大変多くの方にお申し込みいただきましてありがとうございました。
問い合わせ先 産業技術総合研究所 中国センター 中国産学官連携センター
〒739-0046 広島県東広島市鏡山3-11-32
電話:082-420-8245 FAX:082-420-8281 Eメール:c-renkei-ml*aist.go.jp(*を@に変更して下さい)
プログラム、その他詳細情報 産総研サイエンスカフェ in 東広島
「分子を並べる ~七色に輝くセルロース液晶を作る~」
https://unit.aist.go.jp/chugoku/even/2014/20141121.html
※産総研の広報活動に使用することを目的として、サイエンスカフェの様子を写真や動画等で撮影させていただく場合がございます。その他の目的に使用することはございません。あらかじめご了承ください。

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国立研究開発法人産業技術総合研究所