Vol.7 No.2 2014
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研究論文:通信の大容量化に対応する「長さ」の国家標準(稲場ほか)−71−Synthesiology Vol.7 No.2(2014)よびレーザーとのビート信号のS/Nが低下し、制御不能に陥る。また、Ti:Sレーザー自体、空間レーザーであることから防塵が難しく、長時間運転していると光強度が大きい結晶付近に微小な埃が付着するなどして動作が不安定になる。これらのことから、Ti:Sコムを用いて24時間以上連続で光周波数計測を行うことは難しい。一方、ファイバーコムの場合、モード同期ファイバーレーザー~光増幅器~高非線形ファイバー間はすべて光ファイバー系であり、ファイバー同士の融着接続が可能である。空間光学系に必須である精密なアラインメントが不要になり、一本の光ファイバーですべて接続できる効果は大きく、上述したTi:Sコムの欠点はほぼ完全に解決する。4 ファイバーコムの開発上述したように、ファイバーコムが実現した際の長所は明らかであった。我々はまず「ファイバーコムの初期の評価」を行い、それが実現可能であることを確かめた。そして、「モード同期ファイバーレーザーの設計・製作」、「増幅器の設計・製作」、「高非線形ファイバーの評価」、「高速制御型光コムの開発」といった要素技術を開発すれば、堅牢で低雑音なファイバーコムを自家製作できると考えるに至り、それが実現できれば「光通信帯波長のレーザー校正」、「国家標準器の開発」、「光格子時計への応用」などの目標を一挙に達成できる光コムおよびその開発技術が得られる。さらにこれらの研究成果の企業や大学への技術移転を行 frep fCEO モード同期レーザーのポンプ光源モード同期チタンサファイアレーザービート周波数換出用光ファイバーオフセット周波数測定部アラインメントが難しくホコリに弱いレーザー大型で高価な励起レーザー戻り光対策の難しさコア径2 µmの光ファイバーへの結合複雑なf-2f干渉計HMHM制御制御forPD被測定レーザーとのビート検出系へforPDチタンサファイアレーザー遅延系対物レンズDM2OBPF反射型対物レンズ/2PCFPZTBBOforSHGAOM532 nm励起レーザーDM1/4/2/4/2/2fCEO frep EDF被測定レーザーとのビート検出系へ5 cmPOBPFHM制御制御光アイソレーターforPDHNLFforPDHNLFPPLF for 2 µm励起レーザーEDFPZT励起レーザーLL図2 チタンサファイアレーザーによる光コムシステムの概要図基本的に空間光学系であり、長時間連続運転は難しい。写真は、コンパクトにまとめられたシステム例。PZT:電歪素子、AOM:音響光学変調器、λ/2:1/2波長板、PCF:フォトニック結晶ファイバー、DM:二波長鏡、HM:半透過鏡、OBPF:光バンドパスフィルター、BBO:βバリウム・ボーレート結晶、SHG:第二高調波発生、PD:受光器。図3 ファイバーレーザーによる光コムシステムの概要図左側のファイバーリングが、非線形偏波回転を利用したモード同期ファイバーレーザーである。その出力は2~4分岐され、それぞれ必要に応じて増幅、広帯域化して使われる。不安定になりがちな部分がすべて光ファイバー光学系であり、長時間連続運転が可能である。写真は、国家標準として用いている光周波数コム装置のレーザー~光アンプ部(左)、および励起レーザー(右)。EDF:エルビウム添加光ファイバー、PZT:電歪素子、P:偏光子、λ/2:1/2波長板、λ/4:1/4波長板、HNLF:高非線形ファイバー、L:レンズ、PPLN:周器分極反転リチウムナイオベート、HM:半透過鏡、OBPF:光バンドパスフィルター、PD:受光器。

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