Vol.7 No.2 2014
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研究論文:ボールペン技術による家庭用高精細映像光伝送システム開発(当麻ほか)−128−Synthesiology Vol.7 No.2(2014)9段落で「偶然にGI型POFの存在に触れ」と書かれています。前半を読んでいると、POFありきで、コネクタ技術を模索していたように書かれていますが、その一方で後半では、ボールコネクタの低コストを目指していてボールペン型を見いだしたが、スリーブに石英ファイバーでは入らない問題を解決するものとしてPOFを発見したように書かれています。POF→ボールコネクタというシナリオと、ボールコネクタ→POFという逆向きのシナリオが併存して書かれており、読者が混乱すると思います。本当はどちらむきだったのか、あるいは実際には同時並行だったのかなど、シナリオを明確に記載して下さい。回答(当麻 哲哉)全く別の流れで開発をしていた二つのグループが、ある時点で偶然にお互いの共通点に気付き合流したことで、この研究が始まっております。記述をわかりやすく書きなおしました。議論3 プラスチック・ファイバーの波長や帯域制限について質問・コメント(石川 浩)POFは0.8 µm帯で使われると思いますが、使用する波長をどこかに書いておいた方が良いと思います。また、大多数の読者は、SI-POF、 GI-POFの帯域が制限される要因を知らないと思いますので帯域が制限される理由を簡単に説明されると良いと思います。私自身、石英ファイバーについてはわかりますが、POFの分散等の値についてよく知りません。回答(当麻 哲哉)通常のアクリルポリマーでは、水素-炭素結合の吸収が赤外にあるため、可視光領域に制限されますが、全フッ素化ポリマーを使用することにより、赤外の吸収が下がります。今回は850 nmを使っております(4.1に記載)が、700 nm~1300 nmの範囲では、石英と同じ波長でも問題ありませんし、むしろ石英より材料分散が小さいために、より高速の伝送が可能となります。また、SI型の場合は、光の経路によって、中心を直進する光と、コアとクラッドの界面を全反射しながら伝搬する光に、行路差が生じ、伝搬スピードに差が出るために、パルスがブロードに広がる欠点があります。しかし屈折率分布をつけたGI型の場合、光は全反射せずにコア内をサインカーブを描きながら最速経路を経由するように通り抜け、入射光の角度によらず同じ速度で伝搬するため、帯域を広く取ることができます。議論4 ボールペン技術について質問・コメント(小林 直人)この研究では、①ボールペン製造技術を利用したレンズシステムの採用と②プラスチック・ファイバーの組み合わせ、が極めて重要なキーテクノロジーだったと思います。実験結果も極めて良好ですが、今回特にこのような技術を実現する上で困難な点があったのであれば教えていただきたいと思います。回答(当麻 哲哉)この論文にあるように、プラスチック光ファイバーを、かしめて固定するのは容易でしたが、損失を発生させずに固定するかしめ方法の最適化には苦労しました。議論5 異業種との交流質問・コメント(小林 直人)この研究のエッセンスであるボールペン製造技術を利用して光インターコネクトをした点について、この技術を生みだすには異業種との交流が重要だったとの指摘がありました。今後、このような異業種間の連携によりイノベーションを生みだすための積極的・意識的な方法についての考えがあればお教え下さい。回答(当麻 哲哉)異業種交流の場において、お互いの技術を一段高いレベルで抽象化して、概念的に見ることで共通する点を見つけだすことが大切だと思います。システムの要素を物理的な視点と、機能的な視点とで抽象化することによって、新しい発想が生まれてくるものと考えます。議論6 無線技術との競合質問・コメント(小林 直人)2020年の東京オリンピック等も視野に入れ、今後家庭内でも高精細映像伝送のニーズは高くなると思われますが、一方でLTE等の無線技術が急速に進展しています。その結果高精細映像伝送等の特別な場合を除いて、光ファイバーは家庭まで信号を伝送すればよく、家庭内は無線でという考えもあるようです。今後の家庭内での光通信と無線通信の競合・棲み分けについての考えがあればぜひお聞かせ下さい。回答(当麻 哲哉)無線は有線に比べ転送スピードが遅く、環境により通信品質が大きく変わるため、4 Kや8 KのSHVを非圧縮で伝送するのに必要とされる10 Gbps以上の伝送は困難です。また高周波(数十GHz)になればなるほど環境の影響を受けやすく、人が通るだけでも伝送できなくなる場合があり、壁を超えるのも難しいのが無線の現状です。10 Gbpsを超える高速転送では、無線のメリットはないと考えます。また、有線に比べ、無線はセキュリティーの確保に手間が必要となります。

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