Vol.7 No.2 2014
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研究論文:ボールペン技術による家庭用高精細映像光伝送システム開発(当麻ほか)−126−Synthesiology Vol.7 No.2(2014)に、反対方向はフルHD 60p(画素数1920×1080、毎秒60フレーム、プログレッシブ)の非圧縮映像を同期させて伝送、同一部屋内の離れた2箇所の間で通信を行い、映像が途切れたり止まったりすることがなく、システムとして正常に伝送できる性能を持つことを検証した。使用した映像は、2010年に慶應義塾大学とNHKメディアテクノロジー株式会社が共同で制作した約10分程度の映像で、米国のRed.com社の4Kカメラ2台を、3Dリグを使ってハーフミラーを介してお互いに垂直に配置する3D撮影方式で収録を行ったものである。映像は計測技研株式会社のUDR-20Sにデータ保存されているものを再生して上映された。図12は、その検証実験におけるデバイスとその接続を示すシステム構成図である。実験は、日吉キャンパスの協生館3階に設置されているCDF教室(Concurrent Design Facility)において2012年5月に実施し、非圧縮の4K3D映像を正常に伝送できることを確認した。7 結論この研究では、ボールペンの製造技術を応用することで、一般家庭における高精細映像の非圧縮伝送に求められる低コストで接続が容易で、かつ安全で信頼性の高い高速光通信システムを提案し実証を行った。具体的には、全フッ素化屈折率分布型プラスチック光ファイバー(GI型POF)の端面に、ボールペン製造技術を応用して小型ボールレンズを装着した超小型光インターコネクトと、これを複数本組み合わせた新規コネクターつき光伝送ケーブルのプロトタイプを試作し、高精細映像を実際に流して検証を行った。我々の提案する全く新しいボールペン型光インターコネクトは、POFの末端に直接ボールレンズを装着する形で、超小型化していることが特徴であり、そのまま機器内の基板接続を行うジャンパー線としても使用できるほか、複数本組み合わせることで、高速通信コネクターとすることもでき、その本数や形状の設計も自由度が高い。また、ボールレンズの装着工程が、ボールペン製造技術を応用しているために、非常に安価に大量生産ができ、かつ実績のある高精度の軸合わせを達成できることから、極めて実現性と完成度の高い技術であるといえる。その性能についてもこの論文の中で示したが、ボールレンズによる接続の容易性、すなわち軸ズレやギャップが生じても、損失を最小限に抑えて結合できることが証明された。パワーバジェットの評価結果では、ケーブル長50 mを超える中距離伝送、例えば家庭用ネットワークの光化等への活用にあたっては、パワーバジェットに余裕がないため、さらなる損失低減の改善が必要であるが、機器間接続のような短距離では、かなり余裕があることもわかり、実用性の高さを示すことができた。謝辞この研究は、総合科学技術会議により制度設計された最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム)により、日本学術振興会(JSPS)を通して助成されたものです。また、この研究に用いる評価サンプルの作成にあたって、旭硝子株式会社AGC電子カンパニーの渡邊勇仁氏、三菱鉛筆株式会社横浜研究開発センターの三井章仁氏の両氏に感謝申し上げます。なお論文作成にあたっては、慶應義塾大学SDM研究所の日比谷孟俊顧問より多大なるアドバイスをいただきました。お礼申し上げます。POF10 mx 8LC/LCLC/LCSC/LCLC/SCPOF0.5 mx 8POF0.5 mx 8POF0.5 mx 8POF0.5 mx 8POF0.5 mx 8POF0.5 mx 8HDMIx 1HD-SDIx 8HD-SDIx 8HDMIx 1プラグレセプタクルアダプターアダプター変換機変換機プラグレセプタクル3Dメガネフェースボード40 Gbps光インターカムコーダージェクター4K3Dプロリアプロスクリーン慶應義塾大学の4K3D投影施設“CDF”フェースボード40 Gbps光インター4K3Dレコーダー(UDR)ハイビジョンテレビフルHD 60p映像 4.5 Gbps4K3D 60i映像 12 Gbps図12 光電ハイブリッドコネクターを用いた4K3D映像伝送検証のシステム構成8チャンネルのボールペン型光インターコネクトを用いた4K3D高精細立体視映像を一方向に伝送し、逆方向にハイビジョン映像を返す現場を想定した検証テストを実施。

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