Vol.7 No.2 2014
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研究論文:ボールペン技術による家庭用高精細映像光伝送システム開発(当麻ほか)−123−Synthesiology Vol.7 No.2(2014)求されるが、ボールレンズコネクターでは60 µmのズレまで許容され、6倍広いマージンを持つことがわかった。この特徴は、周辺のあらゆる部品の設計精度、組み立て精度、寸法安定性に影響して自由度を増すことにより、製造コストの削減に寄与できるものである。③ギャップによる損失図7は、ファイバーの端面間のギャップに対する損失量を示したものである。1 dB以下の損失に抑えるためには、従来の結合方式では、ギャップはわずか0.05 mm(50 µm)しか許されないが、ボールレンズを装着することにより、許容度が非常に大きくなり、10倍の0.5 mmのギャップでも損失はほとんどなく、測定された最大ギャップ0.8 mmにおいても、損失は0.5 dB以下であった。ボールレンズによるビームのコリメート出力が、この重要な利点を提供しているといえる。④曲げによる損失また、全フッ素化GI型POFと石英系MMFの曲げ損失の比較も、同じ測定方法を用いて評価された。評価は、市販の石英系MMFとして古河電気工業製「OM2」と「OM3」の2製品を、また市販のPOFとしてAGC製全フッ素化GI型POF FONTEX®を比較して行われた。図8に示すように、GI型POFの曲げ損失は、ケーブルをしっかりと結んだ状態 R=3.5 mmまで全く認められず、Rが小さくなるほど損失が大幅に増大していく石英系MMFよりはるかに低く、家庭やオフィスのネットワークへの応用が期待される。4.2 光強度測定による特性評価光パワーメータを使った光の減衰量等の測定により、この研究の光インターコネクトの特徴を調べた。①BERTによるパワーペナルティの測定ビット誤り率(BER:一定時間内に符号化して送られるデジタルデータの総数に対して、誤って受信された符号の数の比率)は、アンリツ社の「BERTWave MP2100A」(BERT、サンプリング・オシロスコープ)を用いて測定された。アジレント社の光減衰器N7766Aを介して、測定対象サンプルをBERT測定器に接続し、減衰量を調整しながら、エラーが1となったときの光パワーをパワーメータで測定した。0.5 dBmずつ変化させながらビット誤り率をプロットしていき、バックツーバック(送信機と受信機を直結し、損失が最も少ない基準となる状態)の石英系ファイバーのデータをリファレンスとして、ビット誤り率1E-12におけるパワー値の差を、パワーペナルティ(伝送路での損失を補うために増加させなければならないパワーの増加量)として算出した。この方法により、ケーブル長とパワーペナルティの関係を評価した結果を、図9(a) に示す。長さとパワーペナルティとの間には、およそ直線関係があることがわかる。100メートルのケーブル長のためのパワーペナルティは、1.12 dBであるが、50メートルでは0.66 dB、20メートルでは0.29 dB、10メートルで0.11 dBであった。これらの値は、5章のパワーバジェットの計算で使用された。②ケーブル損失の評価アジレント社のPNA-Xネットワーク・アナライザ「N5242A」と光コンポーネント・アナライザ「N4376B」を使用し、ケーブルの周波数特性ならびに、ケーブル損失(ゼロ周波数でのDCモード値)を求めた。さまざまな長さのケーブルを測定し、損失量を長さの関数として示したものが、図9(b)である。100メートル長のケーブル損失は3.76 dBで、50メートルで1.87 dB、20メートルで0.75 dB、10メートルで0.38 dBとなった。これらのボールレンズなしボールレンズ付き端面間距離(µm)損失(dB)80060040020000-1-2-3-4石英系 MMF (OM3)石英系 MMF (OM2)全フッ素化 GI POF (FONTEX )曲率半径(mm)損失(dB)3025201510 500.20-0.2-0.4-0.6-0.8-1-1.2-1.4-1.6-1.8-2®図7 軸方向のギャップによる損失の比較データ軸方向のギャップによる光損失を、ボールレンズ装着の有無での比較データ。ボールレンズは間隔が空いても損失が非常に少ない。図8 曲げによる損失の比較データファイバーを所定の半径で曲げたときの光損失を、従来の石英系MMFと全フッ素化GI型POFで比較したデータ。POFの曲げ損失は非常に小さい。

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