Vol.7 No.2 2014
20/78

研究論文:ソーラー水素製造の研究開発(佐山ほか)−84−Synthesiology Vol.7 No.2(2014)体の準位の制約が無くなり、電荷分離が促進され、水素と酸素が分離発生できる長所がある。必要な外部バイアスの大きさは、図3のn型半導体の例では、理論上は伝導帯下端電位とH+/H2電位の差になるので、通常の水の電気分解よりも低い電圧にできる。一方、光触媒は半導体粒子それぞれで反応が完結するので、電荷移動距離が短く、単純化できる長所をもつ。4.1.1 光触媒系の多様化と発展現在では光触媒系と光電極系は表1のようにさまざまな形態に分化・発展している。光触媒系は従来型光触媒(一段光励起型)、レドックス媒体を用いる二段光励起型光触媒(Z−スキーム型)、光触媒−電解ハイブリッドシステムに大きく分類される。レドックス媒体とは酸化と還元をサイクルしながら電子を受け渡す物質である。二段光励起の反応は植物の光合成と同様であり、電子の2回の光励起とレドックス媒体間の移動のジグザグな過程を形容してZ−スキーム型反応と呼ばれる。光触媒−電解ハイブリッドシステムでは、図4のように外部バイアスを用いるが、理論上はレドックス媒体の酸化還元電位と水素の酸化還元電位の差になるので、通常の水の電気分解よりも低い電圧にできる。光触媒系はどれも日本の研究が先行している。従来型とZ−スキーム型光触媒はある条件下(太陽エネルギー変換効率で10 %等)では30円/Nm3以下の水素製造コストは可能という試算があるが[9]、表1や5章に示すように実用化のために克服すべき課題は多い。4.1.2 光電極系の多様化と発展光電極系はn型半導体、p型半導体、p型+n型半導体、pn接合膜に分類される。n型とp型の半導体を組み合わせたものは外部バイアス無しでも水分解できるようになる。しかし、p型半導体で水素を発生させると、Pt等の過電圧の低い水素発生助触媒の担持が膨大な面積で必要となるため、非貴金属の水素発生助触媒の開発が非常に重要になる。また、大面積での水素捕集のフードが必要である。p型半導体光電極はn型と比較して現状効率は高いが、太陽電池と同様の材料および調製方法で成膜する条件設定ではコストが非常に高くなる欠点があり、その延長上の技術では40円/Nm3以下の水素製造コストの達成は難しい[9](DOE試算ではセレン化合物半導体の多接合酸素水光光水素水外部バイアス導電性基板価電子帯禁制帯伝導帯対極助触媒酸素水光電極光触媒水素水1.230酸化還元電位 (RHE vs V)O2H2O H2O H2O2H2O H2O H2O2H2O H2O H2H2O H2O2H2O Red光触媒Z-スキーム水電解光触媒(従来型)光触媒-電解ハイブリッド過電圧RedOx/Red酸化還元電位(RHE vs V)O2/H2OH+/H2Ox1.230Ox外部バイアス図3 半導体を用いた光触媒と光電極による水分解の原理半導体に光が吸収されると伝導帯に電子および価電子帯に正孔が生成し、それぞれ水の還元と酸化反応に利用される。光電極の図はn型半導体の例。伝導帯の電子は対極へ移動して水素発生に使われる。図4 さまざまな水分解水素製造技術とその電位図OxやRedはレドックス媒体の酸化体および還元体。

元のページ 

page 20

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です