Vol.7 No.2 2014
14/78

研究論文:通信の大容量化に対応する「長さ」の国家標準(稲場ほか)−78−Synthesiology Vol.7 No.2(2014)モード同期レーザー:縦モード間隔に近い周波数で、損失や屈折率の変調が共振器に加わると、縦モード間隔が変調周波数に引き込まれて等しくなる。これをモード同期といい、外部から変調を加えることでモード同期する場合を強制モード同期(active mode-locking)、外部から変調を加えず、共振器内の光パワーの変動によってモード同期する場合を受動モード同期という。高非線形ファイバー:モード同期レーザーの出力のスペクトルを1オクターブ以上に広帯域化するために使われる、高い非線形係数を持った光ファイバー。800 nm付近にゼロ分散波長を持つフォトニック結晶ファイバーも高非線形ファイバーではあるが、通常は1.5 µm帯にゼロ分散波長を持つものを指す。サイドバンド型光コム:モード同期レーザーによる光コム以前に用いられていた光コムの一種。共振器内に電気光学変調器を挿入し、縦モード間隔周波数に近い変調周波数を与えることで、入力するCWレーザーに比較用語の説明[1]H. Schnatz, B. Lipphardt, J. Helmcke, F. Riehle and G. Zinner: First phase-coherent frequency measurement of visible radiation, Phys. Rev. Lett., 76 (1), 18-21 (1996).[2]Y. Miki, A. Onae, T. Kurosawa, Y. Akimoto and E. Sakuma: Frequency chain to 3.39-m CH4-stabilized He-Ne-laser using Josephson point-contact as harmonic mixer, Jpn. J. Appl. Phys. Part 1, 33, 1655-1658 (1994).[3]T. J. Quinn: Practical realization of the definition of the metre, including recommended radiations of other optical frequency standards (2001), Metrologia, 40 (2), 103-133 (2003).[4]石川純: 誰でも作れて携行できる長さの国家標準器, Synthesiology, 2 (4), 276-287 (2009).[5]T. Udem, J. Reichert, R. Holzwarth and T. W. Hänsch: Absolute optical frequency measurement of the cesium D1 line with a mode-locked laser, Phys. Rev. Lett., 82, 3568-3571 (1999).[6]D. J. Jones, S. A. Diddams, J. K. Ranka, A. Stentz, R. S. Windeler, J. L. Hall and S. T. Cundiff: Carrier-envelope phase control of femtosecond mode-locked lasers and direct optical frequency synthesis, Science, 288 (5466), 635-639 (2000).[7]T. Okuno, M. Onishi, T. Kashiwada, S. Ishikawa and M. Nishimura: Silica-based functional fibers with enhanced nonlinearity and their applications, IEEE J. Sel. Top. Quant. Electron., 5, 1385-1391 (1999).[8]J. K. Ranka, R. S. Windeler and A. J. Stentz: Optical properties of high-delta air silica microstructure optical fibers, Opt. Lett., 25, 796-798 (2000).[9]A. Onae, T. Ikegami, K. Sugiyama, FL. Hong, K. Minoshima, H. Matsumoto, K. Nakagawa, M. Yoshida and 参考文献用語1:用語2:用語3:サービスの重要性を認識し、トレーサビリティ体系の整備、および校正業務について、常に先手を打って運用を行ってきた。最近では、依頼試験の件数が着実に増えてきており、光通信帯に光のものさしを持つことの戦略的意義の大きさが実証されたと考えている。8ヶ国という大規模な国際比較が短時間で完了できたのは思わぬ副産物であったが、ファイバーコムの実力を象徴する実例となった。ファイバーコムは高い信頼性と比較的シンプルな構成を持つが、他分野への応用や製品化を考えれば、より高いレベルでの信頼性向上とよりシンプルな構成が必要である。そのためには企業との協力が必要である。これまで、NEDO産業技術研究助成事業等を活かした複数企業との共同研究や技術研修を通じて技術移転を行っている他、ファイバー光学系や制御系を分割してモジュール化することにより、高性能ファイバーコムの製品化も目指している。ファイバーコムの小型化・製品化・低価格化が実現されると、光通信分野では、校正のみならずグリッド波長に厳密に対応した信号光をそのまま発生させるなど、通信技術そのものに入り込む可能性が出てくるだろう。また、長さ標準分野においては、登録事業者が光コムを持つようになり、最終的にはヨウ素安定化ヘリウムネオンレーザーを持ち運ぶ必要がなくなる。光通信技術、国内でのトレーサビリティ体系、および安定化レーザーの国際比較CCL-K11のスキームも時代と共に変貌し、より合理的になっていくことが予想され、我々のファイバーコムがその一助となることを期待している。的広帯域にわたる多数のサイドバンドが得られる。非常に高いモード間隔周波数が得られ、1モード当たりのパワーも大きいが、CEO信号が得られたという報告はいままでになく、モード同期レーザーによる光コムの台頭後は周波数計測用にはあまり用いられなくなっている。APMP(Asia Pacific Metrology Programme):アジア太平洋計量計画。1980年に発足し、APEC(アジア太平洋経済協力会議)傘下でのメートル条約に基づくメトロロジー(計量)活動における地域計量組織として、各国の標準器の国際比較や技術協力等の活動を行う。世界にはAPMPの他、北アメリカのSIM、ヨーロッパ大陸を中心としたEUROMET、およびその他大小6つの地域計量組織があり、相互に協力関係にある。CMC(Calibration and Measurement Capability):校正・測定能力。メートル条約に基づき、国際的に審査を経て認められた、各国の国家標準が持つ測定の不確かさ。光格子時計:光周波数に時計遷移周波数をもつ「光時計」のうち、高い正確さと周波数安定度とを両立できることから、次世代の周波数標準として最も有力といわれる方式。東京大学の香取教授により提案された方法で、提案からわずか10年程度で世界中の有力標準研究機関で研究開発されるようになった。用語4:用語5:用語6:

元のページ 

page 14

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です