Vol.6 No.1 2013
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研究論文:光ファイバ広帯域振動検出システムの開発(津田ほか)−51−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)容易に光通信用波長多重コンポーネントを入手することができる。この研究では20 nmごとに各チャンネルの波長を分離する仕様のCWDM(Coarse Wavelength-Division Multiplexing)技術を適用して、図10に示すシステムを組み立てた。このシステムの動作原理は以下のとおりである。ブラッグ波長が20 nm分離された4つのFBGからの反射光は、光サーキュレータと光カプラを経由して、CWDMフィルタにより波長ごとに4つの光ファイバに分離される。各波長の反射光は、個々に光アンプで増幅された後に光カプラで一本の光ファイバに合流される。その後、FBGで反射されてリング共振器を循環することで繰り返し増幅を受け、各ブラッグ波長におけるレーザを得る。このファイバ・リング・レーザで発振された多波長レーザの一部は、光カプラで取り出されCWDMフィルタにより波長分離される。各FBGからの反射光に対応する波長分離されたレーザは、さらに光カプラによりひずみ計測ラインとAE計測ラインに分岐される。ひずみ計測用ラインはひずみ復調用の光フィルタに入射され、光フィルタの透過光および反射光強度からFBGが受けるひずみを評価することができる。またAE計測ラインは光電変換器に接続され、バックグラウンドノイズを取り除くために設定したしきい値レベルを越えた信号がAEとして検出される。AE信号の収録は、圧電センサ用に市販されているAE収録装置を流用することも可能である。なお、図10には一つの波長のみにAE計測ラインとひずみ計測ラインを示したが、他波長についても同様の計測ラインを設けて4chのひずみ・AE同時計測システムを作製した[15]。これまでにこのシステムを用いて液体水素雰囲気で回転する液体ロケットエンジンの振動計測や固体ロケットモータケースのAE計測試験を行った。液体水素雰囲気での振動計測は、これまでの電気センサでは計測部にセンサを貼り付けることが困難であったため、振動ガイドである金属棒を介して測定部位から離れて振動を検出していた。FBGは液体水素雰囲気においても被検体に接着させて計測することが可能で、これまでの電気式センサでは検出できな112233441234光サーキュレータCWDMフィルタ光カプラ光電変換器ひずみ計測ラインAE計測ライン光電変換器光フィルタ光アンプ4光アンプ3光アンプ2光アンプ12011年春2010年春2009年秋既存技術でのシステム開発を断念2008年秋技術の統合今後の課題 AE検出感度の改善 単一アンプによる多波長レーザ発振CWDMを利用した多重化FBGのひずみ計測システムの構築要素技術2011年春JAXA宇宙オープンラボプロジェクト終了2010年春新規な超音波検出システムの発案2009年秋ひずみ・AE同時多点計測システムの構築光フィルタ復調方式(既存技術)AE検出可能ファイバ・リング・レーザを利用した超音波検出の発案低感度でAE検出不可光源出力の波長依存性を利用する超音波検出の発案FBGの超音波検出感度評価実験に現れた低感度現象ファイバ・リング・レーザシステム(開発した技術)低感度でAE検出不可宇宙構造物搭載仕様を満たすシステムのAE検出能評価センサ取り付けを工夫してFBGのAE検出能を評価宇宙構造物搭載仕様を満たせない2008年秋JAXA宇宙オープンラボプロジェクト開始光フィルタ復調方式(既存技術)レーザ復調方式(既存技術)AE計測技術ひずみ計測技術開発目標:FBGを用いたひずみ・AE同時多点計測システムの構築図10 ひずみ・AE同時多点検出システムのブロック図単純化のため図中は波長1の出力にのみAEおよびひずみ計測ラインを示したが、実際のシステムでは他波長出力にも同様の計測ラインを設けている。図11 本研究開発の展開

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