Vol.6 No.1 2013
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研究論文:光ファイバ広帯域振動検出システムの開発(津田ほか)−50−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)FBGをCFRP平板に貼り付けて±0.06 %のひずみを与えたとき、図7に示すように反射スペクトルが波長シフトする。従来技術であるレーザ復調方式では、超音波検出時に反射スペクトルの波長シフトに応じてレーザ波長を制御する必要があるが、ファイバ・リング・レーザシステムではひずみに応じたブラッグ波長において自発的にレーザ発振する。このようなひずみの異なる状態においても何ら制御することなく図8に示すように3周期トーン・バースト波で励起した単発超音波を検出することができた[14]。また、数Hz程度の機械的振動をFBGに与えた際、ひずみゲージから計測された振動周期と一致するレーザ強度変化が現れた。詳細に調べた結果、このファイバ・リング・レーザシステムにより数Hz~2 MHzに渡る広帯域の振動測定が可能であることがわかった。ファイバ・リング・レーザシステムはシンプルな構成であることから小型化が容易で、前述したロケット搭載用AE計測システムの仕様制限を満たし、かつ十分なAE計測能を有するシステムを図9に示すように作成することができた。5 ひずみ・AE同時多点計測システムへの展開我々が携わった研究プロジェクトの最終目標は、4つのFBGセンサを用いてAEと最大1 %までのひずみを同時計測可能なシステムの開発であった。FBGを用いたひずみ計測については、光フィルタを復調器に利用した波長-光強度変換法が確立されている[6]。そこでプロジェクト最終年度に、前節に記したファイバ・リング・レーザシステムから得られるFBG反射光をAE計測用とひずみ計測用に分岐して取り出し、AEとひずみを同時多点計測できるシステムを作成した。このシステム開発にあたって以下の技術的制約があった。1.一つの光アンプから構成されるファイバ・リング・レーザで複数波長のレーザを安定して発振させることは、現在の技術では困難である。2.ひずみ計測では混信を避けるため、ひずみを受けたFBGのブラッグ波長が重ならないように各FBGセンサに利用する波長帯域を割り当てる必要がある。具体的には1 %のひずみを受けたときFBGは12 nmのブラッグ波長シフトが生じるので、それぞれのFBGに12 nm以上の重複しない波長帯域を割り当てる波長多重技術を利用する必要がある。光通信分野では一本の光ファイバに波長の異なる信号を重畳させる波長多重技術が普及しており、経済的かつFBG光カプラ光アンプ光電変換器波長(nm)反射率1551155015490.00.51.00.06 %-0.06 %ひずみなしFBGセンサ信号(mV)時間(µs)ひずみなし100505000-50-500.06 %-0.06 %500-50500-5050 mm図6 ファイバ・リング・レーザ図7 ファイバ・リング・レーザシステムを用いて超音波計測を行った時のFBG反射スペクトル図8 ファイバ・リング・レーザシステムを用いた超音波検出の一例図9 ファイバ・リング・レーザを利用したロケット構造物へ搭載可能なAE検出システム

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