Vol.6 No.1 2013
4/70

シンセシオロジー 座談会−1−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)Synthesiology 発刊5周年記念座談会科学・技術・イノベーション時代の新しい研究方法- 基礎的研究における構成的アプローチについて -赤松 研究開発の成果をいかに社会で使われる形にしていくかという科学技術的知の統合を記述する論文として『Synthesiology』を2008年に発刊し、本号で5周年を迎えました。まず最初に、吉川先生にSynthesiologyが生まれた経緯を振り返っていただけますか。 吉川 工学系の学会等では「シンセシスは論文になるか」という議論が古くから行われていました。「新しい機械ができただけでは論文にならない」という話や、「分析だけでは工学はあり得ない」という意識はあったものの、シンセシスとは一体何かということがわからなかった。ところが、2001年に私が産総研へ行ってみて、標語的に言えばシンセシスを行っている3,000人の研究者集団に巡り合って非常に驚いたのですが、そこでは従来からあるような論文にはなりにくい仕事をしていたわけです。そこで、シンセシスで論文が書けないと苦労している研究者が投稿できる雑誌を作って、これを学会誌として認めてもらおうという、ある意味、現実的な目標を立てました。つまり、“もの”はできても“もの”を作る方法論は残っておらず、シンセシスは歴史的に人類の継承ができていなかった。それをいわゆる分析型の学会誌のように、のちの人々に残せるようにしようというチャレンジだったわけです。学会誌の名前は、赤松さんがSynthesis(統合・構成)とlogy(学)をつなげたSynthesiologyを提案してくれました。今はSynthesiologyという名前も徐々に認知されてきつつありますが、シンセシスが人類にとっての科学や技術においてどのように寄与し、発展していくのかということはまだ結論が出ておらず、Synthesiologyの使命は非常に重要だと考えています。赤松 “第1種基礎研究”の世界と“製品化研究”の世界をつなぐためになすべきことは何かという課題なのですが、こういった基礎的研究による人類的課題達成とイノベーションの促進のためには公的な研究開発資金の投入が重要な役割を果たしています。ファンディング製品化あるいは事業化のための研究開発はその目標達成のために必要な要素技術を統合していくアプローチがとられるのに対し、基礎研究は知的好奇心を原動力として進められることが多い。一方、公的資金による研究開発では民間企業としては実施できないような基礎的・基盤的研究を行うことが期待されるとともに、公共の益になる成果を出して社会にイノベーションを起こすことが期待されています。発刊5周年を機に関係する有識者の方々にお集まりいただき、こういった期待を持たれている基礎的・基盤的研究をどのように進めるべきか、そしてSynthesiology が取り組んできた構成的アプローチの意義やその可能性、さらに今後の科学・技術・イノベーション推進の方向性を議論いただきました。有本 建男安西 祐一郎桑原 洋柘植 綾夫中村 道治古川 一夫吉川 弘之科学技術振興機構 社会技術研究開発センター長日本学術振興会 理事長元総合科学技術会議議員日本工学会 会長科学技術振興機構 理事長新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事長科学技術振興機構 研究開発戦略センター長(産総研最高顧問、Synthesiology誌編集委員)座談会出席者(五十音順)シンセシオロジー編集委員会司会進行:Synthesiology編集委員会(赤松 幹之編集幹事)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です