Vol.6 No.1 2013
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研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−23−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)スタッフ。燃料電池や新型電池等の電気化学的エネルギー変換貯蔵技術の研究開発および地球環境技術の研究開発等に従事。この論文では、高精度都市ガス発熱量・流量測定手法の研究開発と発電効率測定試験法のJIS(TS)規格の原案作成を担当。嘉藤 徹(かとう とおる)1991年東北大学大学院修了、工学博士。1992年通産省工業技術院電子技術総合研究所入所。固体酸化物形燃料電池および高温水蒸気電解技術の研究に従事。産業技術総合研究所エネルギー技術研究部門燃料電池システムグループを経て現在は、経済産業省産業技術環境局研究開発課産業技術総括調査官。この論文では、研究開発全体の統括および発電効率測定試験法のJIS(TS)規格の原案作成・とりまとめを担当。査読者との議論議論1 記述のわかりやすさコメント(立石 裕:産業技術総合研究所つくばセンター)全体に分量が多いので、記述の簡潔化が必要です。特に「1 はじめに」の部分はお題目的な内容が多いので、専門外の読者にとって必要最低限な記述にした方がよいと思います。温暖化対策と分散電源の必要性、SOFCがなぜそれに対応できるのか、開発状況、著者らの研究開発の意義とポイント(特に評価手法の現状と重要性)、を簡潔に述べてください。また、文末の「不確かさ」に関する記述は、どの程度の読者が正しく理解できるか疑問です。参考文献を追加した方が親切かと思います。コメント(長谷川 裕夫:産業技術総合研究所つくばセンター)Synthesiologyは他分野の読者にもストレスなく読めるよう、筆者には分かり易い記述を心がけていただいています。その意味で、「不確かさ」について参考文献を上げていますが、簡単な解説をこの論文に書き込んだ上で、詳細は参考文献とした方がよりわかりやすくなると思います。「不確かさ」という何となく意味が分かったような気がしてしまう日本語のため、なおさらそうした注意が必要かと思います。回答(田中 洋平)導入の部分に関しては簡潔な記述を心がけ、これまでのSOFCの細かい開発経緯を削除し、現状のシステム開発の状況と今後の開発計画等を紹介し、高効率発電システムとしてのSOFCシステムの特長に触れるとともに、当グループの取り組みである高精度性能評価技術の重要性を記述しました。また、SOFCの位置付けとしては、温暖化対策としても有効だと考えますが、沿岸部の大規模集中型発電システムとは対照的に、特に内陸部の高効率分散型発電システムとし今後の電力・熱の安定供給を担っていくこと(エネルギーの高度利用)がより重要な役目だと考えており、関連する部分はほとんど修正していません。不確かさについては、ご指摘のとおり、簡単な説明を追加するとともに、参考文献[7]を参照していただきたい旨を加筆しました。議論2 性能評価の体系コメント(立石 裕)性能評価手法の開発に関して、セル・スタック・システムのそれぞれのレベルにおいて、具体的にどのような要素を評価すればよいのかが統一的に述べられていないため、非専門家からみると、個々の技術開発の目的がわかりにくくなっています。16ページの3.1.1の二つ目のパラグラフの中の「一般的な発電性能試験時・・・・大きくなることが挙げられる。」という部分を最初にもう少し詳しく説明していただくと、全体の流れがとてもわかりやすくなると思います。燃料電池の性能評価とは具体的に何を測定すれば相互評価ができるようになるのか、試験方法としてどのようなものが考えられるか、それぞれのメリット・デメリットは何か、セル・スタック・システム各レベルにおける評価手法の違いは何か、等々を整理していただけるとよいかと思います。回答(田中 洋平)1章および2.1節に単セル、スタック、システム性能評価の重要性を述べるとともに、新たに図3を作成し、各レベルの包含関係を示しつつ、性能指標と性能規定要因を整理したものを追加し、論文の前半で各レベルの評価項目(性能指標)の説明と関連性の記述を追加しました。議論3 技術開発の階層性コメント(立石 裕)議論2と関連しますが、3章における個別の技術開発項目の関連性があまり記述されていないので、まったく独立な技術開発のように見えてしまいます。3.1.1 単セルの性能評価手法の開発3.1.2 スタックの性能評価手法の開発3.2 システムの性能評価手法の開発と標準化これらの項目の関連性と技術開発の流れの説明が必要かと思います。例えば、単セルの評価手法は、スタックやシステムの評価手法にどう生かされているのでしょうか?回答(田中 洋平)貴重なコメントありがとうございます。議論2の回答で一部お答えしましたように、単セルからシステムまでの性能評価・研究開発の流れと各レベルにおける性能指標および評価技術について、1章で簡易的に記述し、2.1節で説明するようにしました。単セル性能がスタックあるいはシステムにどう活かされるかにつきましては、SOFCシステムの発電部は、最小構成単位の単セルを複数積層したスタックであり、スタックの開発には単セルの性能を把握した上で、温度分布、流量分配の不均一性等による各セル性能のばらつきを評価し、最適な設計を行うことが重要です。さらに、システムでは、スタック性能に加えて、熱設計、流量制御精度等の補機類の設計が重要になりますが、特にスタック性能が発電効率等のシステム性能に直結いたします。議論4 標準化の流れ質問(立石 裕)システムの性能評価の標準化が先行し、セル・スタックの性能評価の標準化が後追いになっている理由は何でしょうか? 常識的には、要素から標準化が始まり、システムの標準化は最後にくるような気がしますが。回答(田中 洋平)ご指摘のとおり、通常ですと単セル・スタック→システムの順で開発も標準化も進んでいくと考えられますが、当初、1−200 kW級SOFCシステムの開発がセル製造企業とシステム開発企業の間で進められ、実用化が迫っていたため、まずはシステム試験方法の規格標準化が最優先事項と判断いたしました。なお、最近、単セルおよびスタックを販売する企業が国内外で出てきており、今後国内外で商取引が活発になることならびに国際間連携によるSOFC開発が活発化することが予想されていますので、単セル・スタックの性能測定方法の規格標準化が重要となっています。我々は現在、単セル・スタック試験方法のIECおよびJIS規格提案を行っており、この取り組みについてはSynthesiology 5巻4号で報告しました(参考文献[11])。この点に関しては、2.1節内に加筆しました。
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