Vol.6 No.1 2013
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研究論文:高効率SOFCシステムによる分散型発電の実現に向けて(田中ほか)−20−Synthesiology Vol.6 No.1(2013)用流量の相対不確かさ±0.44 %を達成するとともに、熱式質量流量計感度のガス組成依存性の予測式等都市ガス流量測定時の不確かさを解析するためのMFM特性を明らかにした。計測標準研究部門が開発した都市ガス流量標準器、実用標準器にトレーサブルな高精度流量計あるいは最近市販が開始された校正事業者認定制度(JCSS)に基づく流量計を校正に用いることにより、トレーサビリティを確保した原燃料流量測定が可能になった。3.2.1.3 出力測定手法の開発10 kW級SOFCの出力測定には、確度±0.1 %級の電力計が市販されている。また、電力および電力量計測についてはJCSSに基づく高い精度の校正が確立されており、日本電気検定所では不確かさ±0.04 %の一般校正(JCSS校正の最高測定能力は±0.02 %)を利用できる。よって、出力測定の相対不確かさの目標±0.6 %は達成可能である。ただし、SOFCシステムの交流出力は、スタックから出力される直流電力をインバータで商用周波数の交流に変換したものであり、一般的に商用周波数の基本波の他に、各種高調波やインバータのキャリア波等を含む。そこで、この研究では、基本波の有効電力のみを出力Pと定義した。高調波成分を含む交流電力の国家標準はなく、通常の商用電力量計では等級誤差の範囲内の高調波成分を含む交流しか対象にない。このため、出力評価において、電力測定への基本波以外の高調波成分等の影響が重大な不確かさ因子となる場合も想定され、高調波成分等の評価が不可欠である。以上の理由で、必要な場合には直流電力も測定可能で、商用交流電力を高精度で測定でき、高調波等の解析も可能な市販の精密電力解析器(YOKOGAWA WT3000)をベースに、図7に示すようなコンパクトな可搬型出力測定装置を開発した。測定項目は、有効電力の他に、出力条件の電圧、電流、力率、高調波やインバータキャリア波である。また、不確かさ解析のために、測定時の環境温度や測定器温度を測定できるようにした。3.2.1.4 民間企業が開発した10 kW機の発電効率測定3.2.1.1〜3で開発した可搬型高精度効率測定装置を用いて(図7)、関西電力(株)と三菱マテリアル(株)がNEDOプロジェクトで開発した10 kW級コジェネ機(交流出力:60 Hz、三相三線200 V、最大電流38 A、力率0.99)の発電効率の初期特性試験、および3000 hにわたる耐久性試験において発電効率を同機設置サイトで測定した。10 kW機と可搬型出力測定装置の接続は、不確かさを低減させるために、スターゼロポイントアダプターによる模擬中性点を利用する三相四線三電力計測定方式を採用した[16]。図8に初期特性試験時の都市ガス流量と出力を示す。この10 kW機は、燃料利用率(原燃料の内、電池反応に利用される割合)を一定に制御しているので、都市ガス流量は比較的安定しており、変動は±0.14 %であった。一方、交流出力はSOFCシステム内部で消費される補機動力等の変動により、±0.45 %変動した。都市ガスの発熱量の変動については、10 kW機設置サイトでマイクロガスクロマトグラフにより分析するとともに、可搬型サンプラで試験前後の都市ガスをサンプリングし、産総研で発熱量の変動を分析した。その結果、初期特性試験時の発熱量の変動発電効率測定期間都市ガス流量 / Nl min-1基本波有効電力 / kW時刻 / hh: mm交流出力(一定制御)都市ガス流量99.51010.51130313233343536373811:0011:1011:2011:3011:4011:5012:0012:1012:20a)測定器の不確かさと測定値の変動を含むb)JIS-B8122(2001)コジェネユニットの性能試験方法(型式試験)の測定器精度[9]c)高位発熱量(HHV)基準図8 10 kWコジェネ機の発電効率初期特性試験時の都市ガス流量と交流出力表1 10 kWコジェネ機の発電効率初期特性試験時の測定値と不確かさ なし±0.74 %41.2発電効率、ηe(%)±1.5 %±0.46 %10.14交流出力、P(kW)±3.0 %±0.58 %5.507(10-4 Nm3 s-1)都市ガス流量、fなし±0.12 %44.69(JIS規定例b))相対不確かさa)( k = 2)平均値パラメータと発電効率(MJ Nm-3)都市ガス発熱量、 c)H
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